- HOME
- アンチエイジング情報
- 交差反応と食物アレルギー2
アンチエイジング情報TIPS
アンチエイジング情報TIPS
2023.12.28
食物アレルギーの中には、食物以外のタンパク質(花粉、マダニやクラゲ、化粧品など)が抗原となり交差反応し、意外な食物にアレルギー症状が出てしまうことがあります。それらの症例と対策をご紹介します。
花粉以外のタンパク質が抗原となり交差反応することで起こるアレルギーには、意外な組み合わせがあります。
ゴム手袋のタンパク質が皮膚や粘膜に触れ経皮感作し、栗、バナナ、アボカド、キウイフルーツなどの果物に交差反応し発症。医療従事者に多い。
pork-cat症候群、α-Gal症候群とよばれるアレルギー。経皮感作後、牛肉や豚肉に交差反応し発症。
Bird-egg症候群とよばれるアレルギー。経気道感作後、鶏肉、鶏卵(特に卵黄)に交差反応し発症。
クラゲが刺すときに産生するポリガンマグルタミン酸(PGA)という成分が体内に入ると抗体ができ、後に納豆のネバネバにも含まれるPGAと交差反応し発症。食べてから5〜14時間後に遅発性アナフィラキシーを引き起こすのが特徴。PGAは腸内での消化に時間がかかるため、症状の発現が遅くなると考えられている。
食物添加物の赤色着色料(コチニール)とアイシャドウや口紅に含まれる赤色色素「カルミン」が交差反応を示す食物アレルギー。女性に多く、まぶたの腫れやアナフィラキシーがおもな症状。
生鮮魚介類に寄生したアニサキス(アニサキス属の線虫)によるアレルギー。アニサキス症と異なり、加熱した魚介類を食べてもアレルギー症状が出ることもある。
お好み焼きやホットケーキなどを経口摂取後、小麦粉ではなく、調理粉に混入し、繁殖した「ダニ」由来の抗原でアレルギー症状が起こる。
原因食物の摂取後2時間以内に、運動や入浴、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の服用、飲酒、疲れなどの要因が合わさることで起きる「食物依存性運動誘発性アナフィラキシー(FDEIA)」というアレルギーがあります。発症は学童期以降に多く、タイミングとしては、昼食後の発症が多いようです。症状は皮膚症状、咳、呼吸困難などで、進行が早く、約半数は血圧が低下してショック症状を起こします。発症時は救急車で病院へ搬送するなど迅速な対応が必要です。
運動がアレルギーの引き金になる理由は、運動負荷による食物抗原吸収量の増加、自律神経の関与、ヒスタミン遊離閾値の低下、消化管粘膜の障害、小麦の主要抗原ω-5グリアジン血中濃度の増加などと考えられています。
2021年には遺伝子検査により小麦依存性運動誘発アナフィラキシー(WDEIA)の発症リスク因子が解明されたとの報告もありました。成人の小麦アレルギーの発症の多くを占めるといわれるWDEIAの発症リスクが予測可能となる未来に期待がよせられています。
特定の食品の摂取を避けるのではなく、食生活を見直して免疫を正常化することも大切です。
タンパク質:単一の食品に偏らないよう、肉、魚、卵、大豆製品など様々な食品でタンパク質を摂取する。
魚油:魚に含まれる良質な油は、DHA・EPAを含み、免疫を整え、炎症の抑制に役立つ。
ビタミンA:欠乏すると、皮膚の乾燥や免疫の低下などから粘膜上皮の乾燥などが起こりやすくなることも。
ビタミンD:免疫の調整や、アレルギーによる炎症を抑制して免疫寛容を促進するとの報告がある。
プロバイオティクス:腸内環境を整えることで、バリア機能を高め、未消化の食べ物やウイルスの侵入を防ぐ。
食物アレルギーの診断には、医療機関での詳細な問診と血液検査に加え「食物経口負荷試験」が必要です。正しい診断に基づいた必要最小限の原因食物の除去が推奨されており、「心配だから」という理由での過剰な除去は避けてください。
【参考資料】食物アレルギー診療ガイドライン 2021、猪又直子 マルホ皮膚科セミナー2015、アレルギー56(5)451-456 2007、理化学研究所HP、アレルギー疾患の手引き 2022、厚生労働省HP、櫻本美輪子 医師が教える子供の食事 株式会社ワニブックス 119-121 2020
2023.12ヘルシーパス提供