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不整脈診療ARRHYTHMIA

不整脈専門医としての歩み

2022.10改訂

医師になって約30年間、循環器内科、とりわけ不整脈の診療および研究に従事してきました。

1974年大学を卒業後、一般内科、循環器内科のトレーニングを受けた後、1980年より不整脈の権威の一人、長崎大学教授橋場邦武先生のもとで、不整脈の診療および研究を開始しました。

1983年英国ロンドン大学ウエストミンスター病院で、人工心臓ペースメーカーに関する世界的な第一人者であるサットン教授のもとで、不整脈の臨床研究および診療にあたり、次いで米国に渡り、フィラデルフィアにあるトーマスジェファーソン医科大学ランケノー病院で、不整脈の世界的権威であるドレフュース教授について、心臓電気生理および不整脈の基礎研究を行いました。

3年間の留学後、大学に戻り、不整脈の第一線の診療および研究に従事しました。

1993年北海道十勝の大樹町立病院長に就任後は、帯広不整脈研究会を立ち上げ、地域の不整脈診療の向上と普及に努めてきました。また、1998年からは現国立病院機構帯広病院にて不整脈専門外来を担当するようになりました。当時まだ十勝では臨床心臓電気生理学的検査、およびカテーテル・アブレーションは行われておらず、その道筋をつけるべく常勤の先生方と協力して、不整脈診療の充実をはかってきました。

今日では、カテーテル・アブレーションを含め、標準的な不整脈診療が同病院にて可能になっています。この間の不整脈の診療および研究の業績によって、米国心臓病学会、欧州心臓病学会、および日本心臓病学会のフェローにそれぞれ推挙されました。

北海道でも数少ない不整脈診療の実績を有する医師であることを自負しております。

1999年に帯広市大空町で開業した後、当クリニックでも多くの不整脈患者さんの診療にあたっています。患者さんは十勝のみならず、道東全域からも受診されています。

不整脈ではどのような症状を感じるのでしょうか?

不整脈の種類によっても症状は変わりますが、多くは動悸、つまり自分の心臓の鼓動を胸に感じます。動悸もいろんな動悸があり、「一発ドクンと打つ」、「ドクドクドクと数発打つ」、「ドクーンドドドドクンと乱れて打つ」、「突然早鐘のようにドッドッドッドッと規則正しく打つ」、などがあります。人によっては「胸の不快感、痛み、息苦しさ」、ひどい時は「めまい」や「気が遠くなる感じ」、あるいは「気を失って倒れる」などのことがあります。このような症状を感じる方は不整脈の可能性がありますので、受診をお勧めします。

この数年Apple Watchを始めとするウェアラブル・ディバイスの発展により、自分で心電図や心拍数のトレンドを見ることができるようになりました。しかし不整脈にも放っておいて良いものと治療すべきものがあります。その判断は専門医でないと難しい部分があります。異常を検知された時は、その時の心電図などをプリントして受診ください。

どのような検査をするのでしょうか?

不整脈といってもさまざまな不整脈がありますので、まず不整脈を疑った場合、どのような不整脈であるかを診断します。

不整脈の種類によって治療法も変わってきます。また、心臓に病気があるかないかでも変わってきますので、通常は血液検査、胸部レントゲン検査、心電図検査、それに24時間の心電図を記録するホルター心電図検査(これは外来でできます)、心臓エコーを行います。これらの検査の後、詳しい検査が必要な場合は、臨床心臓電気生理学的検査を行うことになります。当クリニックの場合は、国立病院機構帯広病院に紹介いたします

どのような治療法があるのですか?

不整脈があっても治療の必要性がない場合もあります。ですから治療が必要かどうかを、正確に判断することがまず重要です。

治療の必要性がない不整脈の場合、「不整脈は出ているけれども、治療の必要はありません。不整脈が出たらまた出たかという感じで受け止めて下さい」とお話ししますと、多くの患者さんはそれで安心され、不整脈が出てもあまり気にされなくなります。また、心臓に病気がなくても、自覚症状が強い場合には、薬にて治療をします。

心臓に病気がある場合は、もちろん薬物治療を考慮します。また、カテーテル・アブレーションといって、心臓に細いカテーテルと呼ばれる線を入れ、不整脈の原因となっている部位を高周波で焼灼する治療を行うこともあります。この他に、人工心臓ペースメーカー植込み、植込み型除細動器植込み、などの手術を要する場合もあります。これらの治療は、国立病院機構帯広病院で行います。帯広病院で対応できない極めて難しい患者さんの場合、札幌や東京の連携病院を紹介し、治療を行ってもらうこともあります。

私が執筆した不整脈論文の紹介

以下にご紹介します論文は私が以前に執筆したものです。医師向けに執筆したものですので、一般の方々には多少難しいかもしれません。執筆して長い時間が経過していますが、内容は決して古いものではありません。患者さんにも参考になる箇所もあるかと思いご紹介いたします。

帯広の不整脈診療体制の整備と研究会の紹介

1991年に私が十勝に来た頃は、十勝には不整脈治療センターはありませんでした。

そこで十勝不整脈研究会を立ち上げて毎年講演会を開催し、最新の不整脈治療情報を管内のドクターに提供してきました。1998年開業とともに、国立帯広療養所(現国立帯広病院)にて不整脈専門外来を開設し、週一回外来を始めました。と同時に心臓電気生理学的検査及びアブレーションができるような体制を整えて行きました。今では日本不整脈心電学会の認定施設になり、管内の不整脈治療センターとして頑張っています。以下はその経緯を紹介したものです。興味のある方はどうぞご覧ください。

十勝・帯広の不整脈診療センターの立ち上げの歴史
〜国立帯広病院 満岡不整脈専門外来の終了に際して〜

帯広不整脈研究会経過

道東不整脈セミナー経過