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不妊対策の栄養素

2020.08.28

日本では晩婚化などを背景に不妊治療を受ける夫婦が増加しています。不妊治療の分野でも栄養素の補給が役立つことが知られており、研究も盛んに行われています。今回は不妊対策に注目されている栄養素をご紹介します。

不妊とは?

「妊娠を望む健康な状態の男女が性交をしているにも関わらず、一定期間(1年間)妊娠しない状態」を不妊と言います。一般に、女性がもっとも妊娠しやすい年齢は20歳前後であり、30歳代後半以降は年齢を重ねるにつれて妊娠が難しくなるとされています。女性不妊の原因としては排卵障害、卵管の閉塞や癒着などの卵管因子などが挙げられ、男性不妊の原因には性機能障害、精子の数や運動率の低下などがあると言われています。

不妊対策になる栄養素

ビタミンD

ビタミンDが充足している女性は、不足または欠乏して いる女性に比べて生殖補助医療(ART)の出産率が高いことがメタ解析で明らかになっています(Hum Reprod. 2018 Jan 1; 33 (1): 65-80.)。また、妊娠中のビタミンD不足は子癇前症や子の成長に影響する可能性があります。

亜鉛

精液検査が正常な男性と男性不妊患者の精液中の亜鉛濃度を調べたところ、精液検査が正常な男性の精液中の亜鉛濃度の方が男性不妊患者に比べて有意に高く、精液中の亜鉛濃度が高い男性ほど精子数が多く、正常な形態の精子の割合が高いことも報告されています(Nutr Res. 2009 Feb; 29(2): 82-8.)

また、無作為化比較試験21報について検討したメタ分析において、妊娠中の亜鉛サプリメント摂取は早産(16報)のリスク低下と関連が認められています(Cochrane Database Syst Rev. 2015 Feb 2; (2): CD000230.)

セレン

不妊治療を受けている不妊女性98名と不妊症でない30歳代の女性43名に血液検査を行い、血中の重金属濃度を比較したところ、血中セレン濃度やセレン/水銀モル比(物質量の比)は、不妊症でない女性に比べて不妊症女性の方が有意に低く、血中水銀濃度は不妊症群の方が有意に高いことが分かりました。メチル水銀は女性の不妊に影響を及ぼし、セレンはメチル水銀の影響を軽減する作用があることが示唆されました(Environ Res. 2019 Jan; 168: 357-363.)

オメカ3系脂肪酸

女性不妊に対しては、オメガ3系脂肪酸(DHA、EPA)の食事やサプリメントからの摂取量が多いほどARTの治療成績(妊娠・出産の確率)が良く、総エネルギー摂取の1%を飽和脂肪酸から DHAやEPAに変えることにより、出産の確率が2.37倍上昇するという報告(Hum Reprod. 2018 Jan 1; 33 (1): 156-165.)があり、男性不妊に対しては、オメガ3脂肪酸の摂取量が多いほど精子無力症の発症 リスクが低いという症例対照研究があります(Fertil Steril. 2015 Jan; 103 (1): 190–8.)。また、魚介類をたくさん食べるカップルほど、性交回数が多く、妊娠までの期間 が短いという報告もあります(J Clin Endocrinol Metab. 2018 Jul 1; 103 (7): 2680-2688.)

コエンザイム Q10

ART治療前に60日間CoQ10を補給することで、35歳未満の卵巣機能が低下している女性の卵巣の反応性や胚の 質を改善するという研究(Reprod Biol Endocrinol. 2018 Mar 27; 16 (1): 29.)や、不妊症の男性を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、コエンザイムQ10 を摂取させたところ、精子の密度、運動性、正常形態の割合が増加したという報告があります(J Urol. 2012 Aug; 188 (2): 526–31.)

その他

ビタミンE、イノシトール、カルニチンなども不妊に対する有効性が示唆されています。また、適正体重(BMI 18.5〜25)の維持、ストレスを溜め込まない、禁煙、過度な飲酒をしないなどの生活習慣も大切です。

まとめ

妊娠を希望している女性は胎児の神経管閉鎖障害の予防のために400μg/日の葉酸摂取が勧められているため、葉酸サプリメントを摂取している人は多いですが、実は葉酸単体を摂取するよりも、複合的にビタミン・ミネラルが配合されたサプリメントを摂取する方が妊娠しやすいという報告があります(Reprod Biomed Online. 2012 Jan; 24 (1): 54-60.)。そのため不妊対策には、まず1日の摂取量で葉酸が400μg摂取でき、その他のビタミンやミネラルもバランスよく含むマルチビタミン・ミネラスタイプのサプリメントがお勧めと言えそうです。

【参考】不妊のこと、1人で悩まないで「不妊専門相談センター」の相談対応を中心とした取組に関する調査、国立研究開発法人・医薬基盤・健康・栄養研究所「健康食品」の安全性・有効性情報、ナチュラルメディシン・データベース第6版 健康食品・サプリ[成分]のすべて

2020.08ヘルシーパス提供

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