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口腔内環境と健康1

2013.09.12

口腔は外部物質を体内に取り込む「ゲート」として重要な役割を担っています。今回は、疾患と健康の関わりについて、口腔内環境の視点からご紹介します。

近年増えている、口腔内の疾患

口腔内で起こる疾患というと虫歯(う蝕)が第一に挙げられますが、その他にもドライマウス(口腔乾燥症)、歯周病、口臭、口腔内炎症などの疾患罹患率は、環境や生活習慣が変化した現代人に増えていると言われています。例えば、日本でのドライマウスの罹患者は約3,000万人(欧米の疫学調査から換算)。また、歯周病及び虫歯の患者数は約600万人で、3年前より6%増加していると推定されており、これらは、糖尿病や肥満症と並んだ「生活習慣病」のひとつであるとの考え方も広まってきています。

唾液のスーパー機能!

ドライマウスや歯周病、口臭の主な要因として「唾液の分泌低下」が挙げられます。

唾液は99%以上が水分で、残りの1%弱がミネラルや糖たんぱく質、酵素、抗体などで、これらの微量栄養素が特に重要な働きをしています。

抗菌作用

歯周病菌やその他有害菌が体内に侵入するのを防ぐための成分が、唾液には含まれています。「ラクトフェリン」は母乳に多く含まれるタンパク質ですが、細菌の成長に必要な鉄イオンと結合する作用があるため、口腔内の鉄イオンを減少させることで菌の増殖防止効果が得られると言われています。また、母乳や涙などに含まれる酵素「リゾチーム」には細菌の細胞壁を加水分解する働きがあります。その他、免疫抗体の「IgA」やペプチドの「βディフェンシン」も唾液中に存在し、抗菌作用に貢献しています。

潤滑・粘膜保護作用

胃腸の粘膜は粘性タンパク質の「ムチン」の層が厚く細菌が侵入しにくい構造になっている一方、口腔内の粘膜はムチンの層が薄いと言われています。唾液には、そのムチンが多く含まれ、口腔内の粘膜や食べ物を覆い、刺激や乾燥からの保護や、食べ物を飲み込みやすくする潤滑の働きもあります。

pH調整・再石灰化作用

口腔内のpHが酸性(pH5.5以下)に傾くと、歯を覆うエナメル質が溶解し虫歯になりやすくなります。唾液中の重炭酸塩やリン酸塩が酸を中和し口腔内のpHを中性に保つ働きをします。また、唾液中にはエナメル質を再生するための成分も含まれており、唾液が十分に存在することで歯の表面は常時修復されています。虫歯の原因菌が産生する「乳酸」もエナメル質を溶解するため、唾液が減少すると虫歯は進行する一方になってしまいます。

唾液には、このほかにも、唾液中のアミラーゼによる炭水化物消化作用や、創傷治癒作用などの働きが知られています。

唾液減少の要因は?

唾液が減る大きな要因は、薬剤の副作用、加齢による性ホルモン低下、神経性、シェーグレン症候群、全身疾患によるものの他、口呼吸の増加や咀嚼回数の減少、喫煙などの嗜好物が起因となるとの報告がされています。

副作用によりドライマウスを併発する主な薬剤には降圧剤、利尿剤、抗ヒスタミン薬、抗うつ薬、鎮痛薬などがあり、幅広い種類の薬剤が関係していることが伺えます。また、ドライマウス症状がみられる全身疾患としては、糖尿病、腎疾患、貧血、高血圧症などが挙げられます。

唾液量を増やすためには?

唾液量を増やすためには、口呼吸ではなく鼻呼吸を意識することや、咀嚼回数を増やすこと、ストレスを緩和させるような生活を意識することが重要です。

その他、食品成分(栄養素)でも唾液量を増加させることができるとの研究も進められています。

ビタミンC/クエン酸

酸味の強いビタミンCや梅干しなどに含まれるクエン酸は唾液量を増加させます。

ポリグルタミン酸

ポリグルタミン酸の溶液で口腔内をゆすぐと、生理食塩水と比べて唾液量が優位に増加したとの報告があります。

コエンザイムQ10

エンザイムQ10の摂取で唾液分泌機能を増進できると言われています。ドライマウス患者の還元型CoQ10摂取試験では、プラセボ群と比較して唾液分泌量が増加したとの報告があります。

唾液分泌を増加させることは、口腔内疾患はもちろん、全身疾患を予防することにもつながる、重要なことと考えられます。

【参考】ドライマウス研究会HP、厚生労働省平成20年患者調査の概況、日本口腔検査学会雑誌,1(1):40-43、ゼリア新薬工業(株)HP、森永乳業(株)資料、ライオン(株)HP、Ryo K,Clin Biochem 44;660-674,2011、九州歯科大学口腔機能発達学講座研究報告

2013.09ヘルシーパス提供

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