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魚介類の水銀蓄積について

2013.08.08

厚生労働省は、平成15年、水銀の害を防ぐため、「妊婦が注意すべき魚介類の種類とその摂取量(筋肉)の目安」を発表し、母子手帳でも注意喚起されるようになっています。

なぜ、魚介類に注意が必要なの?

魚介類はタンパク源として重要です。

また、生活習慣病の予防や脳の発育等に効果がある多価不飽和脂肪酸のEPAやDHAが多く含まれること、さらに、タウリン、アスタキサンチンなどの話題の栄養素を含むほか、カルシウムをはじめとする各種の微量栄養素の摂取源になっています。しかし、魚介類は自然界に存在する水銀を食物連鎖の過程で体内(主に筋肉)に蓄積してしまうため、一部の魚介類については水銀濃度(メチル水銀)が他の魚介類と比較して高いものがあります。そのため、水銀による胎児への悪影響を防ぐ観点から、厚生労働省は妊婦さんについて、魚介類を通じた水銀の摂取への注意喚起を行っています。

水銀の害について

メチル水銀の毒性は主に神経毒性(神経の発達への影響)で、特に胎児や発達中の幼児へ影響するとされています。メチル水銀は水俣病の原因でもあり、その他にも多数の障害を引き起こす可能性が知られています。

魚介類に多く蓄積される理由

水銀は食物連鎖で生物の体内に濃縮されるため、食物連鎖の上位にいるほど蓄積量は多くなります。

そのため、摂取に注意が必要な魚介類の多くは食物連鎖の上位にいる種類で、特に大型になる種類は水銀の蓄積量も多くなります。

また、寿命や生息地域も要因の一つと考えられ、イルカ、クジラ、マグロなどの大型で寿命が長い種は特に注意が必要です。なお、キンメダイやカサゴが他の魚種と比べ特殊と感じるかもしれませんが、キンメダイやカサゴの仲間は、体長の割に寿命が長く(15〜20年)、深海や海底近くに生息していることも原因であると推測されます。 

アラスカ沖で捕獲された体長1mのカサゴの仲間は推定100歳だったという報告もあります。

また、クジラ類では、ハクジラ(イルカ、コビレゴンドウ、ツチクジラ、マッコウクジラ等)の仲間は水銀濃度が高いですが、 主にプランクトンを食べるヒゲクジラ(ミンククジラ等)類では水銀濃度はそれほど高くありません。

つまり、水銀蓄積のリスクが少ない魚は、食物連鎖の底辺に近く寿命が短い魚、たとえば、イワシ(2-3年)やサンマ(2年)などが該当します。

注意が必要な魚介類

日本における水銀の摂取状況をみると、魚介類によるものが全体の約80%を占めています。厚生労働省の報告で、妊婦が注意すべき魚介類の種類とその摂取量(筋肉)の目安は次の通りです。

摂取量(筋肉)の目安
魚介類

1回約80gとして妊婦は2ヶ月に1回まで
(1週間あたり10g程度)

バンドウイルカ
1回約80gとして妊婦は2週間に1回まで
(1週間あたり40g程度)
コビレゴンドウ
1回約80gとして妊婦は週に1回まで
(1週間あたり80g程度)
キンメダイ
メカジキ
クロマグロ
メバチマグロ
エッチュウバイガイ
ツチクジラ
マッコウクジラ
1回約80gとして妊婦は週に2回まで
(1週間あたり160g程度)
キダイ
マカジキ
ユメカサゴ
ミナミマグロ
ヨシキリザメ
イシイルカ

※魚介類の消費形態ごとの一般的な重量は次のとおり。寿司 一貫当たり15g程度、刺身 一人前当たり80g程度、切り身 一切れ当たり80g程度

諸外国の対応

魚介類の水銀蓄積への注意喚起は、イギリス、カナダ、アイルランド、オーストラリア、ニュージーランド、ノルウェー、デンマークでも行われており、妊婦、授乳婦はもちろん、妊娠を考えている女性、14歳未満の子供でも注意が必要とされています。ここで指定されている魚種は基本的に日本と同じですが、サケマス養殖の盛んなノルウェーでは、大型のサケマスも注意が必要な魚として取り上げています。

【参考】厚生労働省、医薬食品局食品安全部基準審査課

2013.08ヘルシーパス提供

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