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アンチエイジング情報TIPS
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2013.06.14
腸は「第2の脳」とも呼ばれるほど体の健康を維持するための多彩な働きを担っています。近年、そうした腸の機能が見直され始め、腸と栄養に関する密接な関係も、改めて注目を集めています。
腸は口から入った食物が通過していく管状の通り道ですが、単に「道」としての役割だけではなく、食物からのエネルギーや栄養素の吸収、外界からの侵入者の排除、さらにホルモンや神経系の調節などの機能を持ち合わせています。腸というと、従来は主に「腸内細菌のバランスを整えることで整腸作用が得られる」ということが注目されていましたが、近年、腸に対する概念が大きく変わりそうな機能や、栄養との関わりが数多く報告され始めています。
腸の役割は、第1に食物をエネルギーに効率よく変えるため、順序よく分解し、吸収しやすい形にしていくことです。ヒトの皮膚の表面積は畳1枚分(約1.8m2)であるのに対し、腸の表面積はテニスコート1枚分(約260m2)といわれ、食物を分解・吸収するためには大変な労力が必要とされることがわかります。
私たちヒトは、生命を維持していくために幅広いものを栄養に変えられる(雑食)ように進化してきました。その進化の裏で、腸は様々な種類の食物をエネルギーに変えるための工夫を行っており、そのひとつに、自力では消化しきれない食物を分解してもらうための「細菌との共生」があります。
腸の役割でもう一つ重要なのは、外界の敵から身を守ることです。腸は外部から摂取した食物の通り道であることから、毒素を出す菌やウイルス、アレルゲンなどと直に接する環境です。大半の菌やウイルスは酸性の強い胃酸によって死滅しますが、それでも撃退できない場合には、小腸の腸管免疫が抗体を送り出し、病原菌に対応します。
近年の急激な環境の変化、食生活の変化に対し、私たちの腸や腸内細菌は上手く機能しにくくなっています。
そんな中、最近では腸に関する様々な研究が行われるようになりました。
腸内細菌と疾病の関連について最新の報告を、いくつかご紹介します。
胃がんや胃・十二指腸潰瘍の原因といわれるピロリ菌は有名ですが、炎症性腸疾患(IBD)や潰瘍性大腸炎(UC)も腸内細菌による感染症である可能性が研究者により調査され、近年、その原因菌が突き止められつつあります。
肥満者の腸内細菌叢は特異であるといわれています。高脂肪・高糖質食の摂取が原因となり、肥満者特有の腸内細菌叢を形成し、肝臓や骨格筋での脂肪合成が促進され、食欲亢進、インスリン抵抗性が上がるなどの影響を与えていると考えられています。
アレルギー児と健康児の腸内細菌叢を比較したところ、アレルギー児の腸内細菌の種類や量が、健康児と大きく異なることが示されました。それ以降、腸内細菌とアレルギー疾患の関連性に注目が集まり、乳酸菌摂取によるアトピー性皮膚炎の発症予防効果も期待されています。
腸内細菌叢が悪化することで腸管透過性が増し、本来、抗原とならないような食品中のタンパク質が抗原になってしまうことがあります。抗原の侵入によって自己免疫疾患が引き起こされることにより、インスリンを作り出す膵臓が炎症を起こし、1型糖尿病になるとの仮説が立てられています。
アルコール性肝障害(ALD)はアルコール(エタノール)によって腸管の透過性が増し、腸内細菌の多臓器への移行(BT)や腸内細菌由来のLPS(内毒素)が肝臓内に流入することが原因の一つだといわれています。
一方、非アルコール性肝障害(NASH)では肥満により腸内細菌叢のバランスが異常に崩れ、ALDと同じくLPSが増加、インスリン抵抗性やコリン代謝不全を起こし、NASHが発症すると指摘されています。
どちらも腸内細菌叢を正常化すプロバイオティクス療法により脂肪性肝炎が抑制されると考えられています。
【参考】医師薬出版:臨床栄養Vol.120 No.6 2012MAY「腸管と免疫栄養」、講談社:上野川修一著「からだの中の外界 腸のふしぎ」
2013.06ヘルシーパス提供