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ビタミンDのポジティブな臨床報告

2012.11.15

近年、臨床試験論文が続々と発表されているビタミンD。世界中から注目を集めるビタミンDのポジティブな報告を一部ご紹介させていただきます。

ビタミンDについて

ビタミンDは脂溶性のビタミンで、カルシウムとリンの吸収を促し、骨や歯の形成と成長を助けると考えられています。日本人のビタミンD摂取量の目安は5.5μg/日で、耐用上限量は50μg(2,000IU)とされていますが、米国の上限量は100μg(4,000IU)であり、摂取量を増やすべきとの議論が続く、注目度の高いビタミンです。

臨床試験の紹介

小児/思春期の若者とアレルギー

アメリカで行われたビタミンDと17種類のアレルギーとの相関に関する研究で、血中ビタミンD(25(OH)D) 濃度が15ng/mL未満の小児~思春期の若者は、30ng/mL以上の子達に比べ、ピーナッツ、ブタクサ、オーク(oak)アレルギーに約2~5倍罹りやすいという結果が報告されました。他8種類のアレルゲンでは、関連性はみられるものの有意差は認められませんでした。同様に成人でも調査されましたが、血中ビタミンD濃度とアレルギーの相関性は見られませんでした。
(J Allergy Clin Immunology, Vol.127, Issue5)

高齢者と骨折リスク

11の二重盲検無作為化コントロール試験のメタ解析で、高用量ビタミンD(792-2,000IU/日、平均800IU/日)の経口摂取群とカルシウムのみ、またはプラセボ群と比較したところ、ビタミンDを800IU/日以上摂取した方が、股関節骨折リスクが30%低下、非脊椎骨折リスクは14%低下すると報告されました。対象者は摂取平均年齢76歳(うち91%が女性)の約3.1万人でした。。
(N Engl J Med 2012; 367:40-49)

テストステロン濃度の上昇

医療関係者追跡調査で、男性1362名の血中ビタミンD濃度と総テストステロン、遊離テストステロン濃度の相関を見たところ、ビタミンD濃度が高い男性ほど総/遊離テストステロン濃度が高いと発表されました。ビタミンD濃度が75-85nmol/L(30-34ng/mL)以下では濃度依存的にテストステロン濃度が高くなりますが、それ以上は濃度に左右されずに水平を保つようです。また、テストステロン濃度の季節的変動も見られませんでした。
(Clin Endocrinology, Vol.77, Issue 1, pg 106-112)

生理痛の緩和

生理痛を有する女性40人が参加した無作為化試験の結果、300,000IUのビタミンD3を経口摂取した群は、2か月後に40%の女性が痛みの軽減を報告しました。また、鎮痛剤服用も不要になりました。ただ、300,000IUは摂取基準量を大幅に超えているため、過剰症や副作用の恐れも考慮する必要があります。
(Arch Intern Med.2012;172(4):367-369)
(REUTERS:Early signs vitamin D might ease menstrual cramps)

ビタミンD低値と言語障害リスク

妊娠18週目の血中ビタミンD濃度が18.4ng/mL以下(≦46nmol/L)の妊婦の子(5-10歳)は、ビタミンD濃度が28ng/mL以上(≧70nmol/L)の妊婦の子どもよりも言語障害リスクが2倍近く高いことが分かりました。

一方、行動や感情障害はどの年齢にも相関が見られませんでした。この調査はオーストラリアの白人女性743名を対象に行われました。
(doi: 10.1542/peds.2011-2644)

小児ぜんそくリスクの低下

重度治療抵抗性喘息(STRA)を患う36名の子どもは、軽度喘息や健康な子どもに比べ、血中ビタミンD濃度が低いことが示されました[STRA患者:28nmol/L、軽度喘息:42.5nmol/L、健康小児:56.5nmol/L(全て平均)]。

また、ビタミンD濃度の低値は、肺活量、気道平滑筋量上昇、喘息コントロール/肺機能などの悪化とも関連が見られました。
(Am.J.Respir.Crit.Care Med.vol.184 no.12: 1342-1349)

フィンランド軍人と日々の健康

フィンランドの男性軍人164名(18-28歳)を対象に半年にわたる二重盲検プラセボ試験を行い、ビタミンD摂取(400IU/日)群とコントロール群を比較した所、ビタミンD摂取群の方が欠勤日が少なく、自己申告で健康だという人の数が多いとの報告がありました。

しかし、風邪症状の有無に違いは見られませんでした。試験前は両群のビタミンD濃度に差はありませんでしたが、試験後はビタミンD摂取群のほうが約20nmol/L ほど高い結果となりました。
(J Infect Dis. (2010) 202 (5): 809-814.doi: 10.1086/654881)

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