1. HOME
  2. アンチエイジング情報
  3. ナイアシン(ビタミンB3)1

アンチエイジング情報TIPS

ナイアシン(ビタミンB3)1

2012.09.03

ナイアシンはビタミンB3とも呼ばれ、体内の脂肪や糖分の代謝に深く関る栄養素です。ナイアシンには、様々な症状への有効性が期待され、臨床でも使用され始めています。

ナイアシン(Niacin)とは

ナイアシンはビタミンB群のひとつで、ニコチン酸とニコチン酸アミド(ナイアシンアミド)の総称です。体内でエネルギー産生やアミノ酸、脂質代謝に関わる活性型補酵素 (NAD、NADP※) として重要な働きを担っている栄養素です。また、遺伝子やホルモンの合成、細胞の分化にも関わるほか、血管拡張作用を持ち、血管循環を円滑にする働きも 併せ持つ、非常に必要性の高いビタミンです

※NAD:ニコチン酸アミドアデニンジヌクレオチド NADP:ニコチン酸アミドアデニンジヌクレオチドリン酸

ナイアシンが不足すると?

500種近い酵素の補酵素として働くナイアシンは、  不足することで様々な症状を引き起こします。ナイアシン欠乏症は、DNA合成低下やトリプトファン代謝障害によって、水泡、角化、乾燥、口角炎、口内炎、粘膜皮膚障害の発症、エネルギー産生の不足や脳神経伝達物質代謝不全による食欲不振、神経衰弱、不眠症などが主な兆候です。しかし、これらの症状は、どれもナイアシン不足が主原因であると判断しづらいものばかりです。

一方、ナイアシンはトリプトファンからも体内で生合成されるので、欠乏にはなりにくいと考えられています。しかし、ビタミンB2、B6、鉄などが不足すると生成されにくくなってしまうので注意が必要です。ビタミンB群が十分に摂取されている状態で60mgのトリプトファンから1mgのナイアシンが作られるといわれています。

多く含まれる食品

ナイアシンは主に肉や魚、特にお刺身に多く含まれています。その他にも、酵母、牛乳、緑黄色野菜、豆類、穀物など、幅広い食品に含まれている栄養素です。

ナイアシンの欠乏症として有名な「ペラグラ(下痢、皮膚炎、認知症の症状を経て死に至るといわれる疾病)」は、ナイアシン含量の低い精製トウモロコシを主食とする地域で発見されました。ペラグラの発症は日本では稀ですが、日本人が主食とする精白米は玄米の約1/13しかナイアシンが含まれていないので、毎日摂取する主食の栄養素も考えて選びたいものです。

ナイアシンの有効性が認められた臨床例

ナイアシン欠乏による症状の改善以外にも、ナイアシンを積極的に摂取することで、症状の改善が認められた例が知られています。ナイアシンに関する論文は古いものが多いですが、興味深い臨床例をご紹介します。

統合失調症の改善

82名の統合失調症患者にナイアシン治療の二重盲検試験と7年にわたる追跡調査を行ったところ、62名のナイアシン摂取をした群(入院中および退院後最低1年連続摂取)は、20名のコントロール群に比べ、5年、症状が現れないという結果になりました。

36名の入院中統合失調症患者が二重盲検試験を行い、 ナイアシンアミドを1日3g、5週間摂取した群とコントロール群の実験終了後12か月までの入院日数を比較した所、ナイアシンアミド摂取群の方が40%低い事がわかりました。

うつ病の改善

1950年に発表された報告によると、1日 450 - 2500 mg のナイアシン摂取は、恐らくナイアシン欠乏症でないと 診断されたうつ病患者に効果があるそうです。

また、ナイアシン自体にうつ病改善の効果があるかは わかっていませんが、L-トリプトファンによる抗うつ病効果をサポートするといわれています。

変形性膝関節症の改善

カーフマン(米国)らが1940年代~1950年代に変形性膝関節症の600名を対象に行なった実験で、ナイアシンアミドを1日に900 - 4000 mg 摂取させると、関節可動域が大きくなり、関節の炎症や痛みが軽減される事がわかりました。摂取量は可動域の広さによって調節することが必要ですが、およそ3−4週間で効果が現れたようです。また、ナイアシンアミドは摂取量よりも摂取頻度が多いほど効果があるそうです。

【参考】Fritz Perlberg Publising: Nutritional Medicine、同文書院:健康食品・サプリメント[成分]のすべて、日本人の食事摂取基準2010

2012.08ヘルシーパス提供

スタッフによるブログ始めました!!