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フェリチン2臨床現場での隠れ貧血発見法と対処法

女性の不定愁訴の原因は、鉄欠乏性貧血であることが多く、その発見には、貯蔵鉄(フェリチン)が役に立つことを、前回、ご案内しました。今回は、実際の臨床現場での隠れ貧血発見法と、対処法について、ご紹介します。

隠れ貧血発見のための検査項目「フェリチン」

血清フェリチン濃度は、貯蔵鉄量とよく相関するため、生体の鉄の状態を把握するのに有用であると考えられています。

鉄が不足する場合「フェリチンの減少→血清鉄の減少→ヘモグロビンの減少」の様に、フェリチンから減少していきます。このため、フェリチンを検査することで、表向きは貧血でなくても、いずれ貧血になる可能性がある「隠れ鉄欠乏症(潜在性鉄欠乏)」が分かります。

日本人のフェリチン値の分布

平成18年厚生労働省国民健康・栄養調査報告によると、閉経前の日本人女性のフェリチン値の分布は、下記のグラフの様になります。実に、閉経前女性の7割が鉄欠乏状態であることが分かります。

この年代の女性が不調を訴えた場合、フェリチン値をチェックするのは根本的な原因を特定するために極めて有力な方法と言えるでしょう。

鉄不足への対応

鉄不足を発見した場合、医薬品の鉄剤(クエン酸第一鉄、硫酸鉄等)を処方することになります。医薬品の鉄は保険が適用さるため患者さんの経済的な負担は軽いのですが、鉄不足の場合、胃などの粘膜が弱っていることが多く、吐き気がしたり、お通じのトラブルが起きるなど、副作用の発生が多いことが問題です。

日本人閉経前女性のフェリチン値の分布

こうした状況では「ヘム鉄」を使用することが、有効な解決策となります。ヘム鉄は鉄原子がポルフィリンという分子に包まれているため、吸収が良く、副作用も起こり難いという利点があります。医薬品にヘム鉄は無いため、サプリメントの摂取を勧めることになります。

虚偽品が溢れる「ヘム鉄サプリメント」

ところが、困ったことに世の中には虚偽品のヘム鉄サプリメントが溢れているのが現実です。

ヘム鉄のサプリメント原料はブタの赤血球由来のものが主体ですが、鉄の含有率が1~2%と低いため、十分な量のヘム鉄を含むサプリメントを作るには大量の原料を使用する必要があり、どうしても粒が大きくなるか数が増え、価格も高くなります。

「ヘム鉄」を標榜しながら、小さく少ない粒で価格も安いサプリメントは、虚偽の表示をしている疑いが濃厚です。こうしたサプリメントは、鉄の含有量が少なかったり、ヘム鉄では無く「無機鉄」を主要原料にしていることが多く、 全く症状の改善が見られなかったり、摂取した患者さんが副作用で苦しむことになります。

ヘム鉄のサプリメントの選択を患者さんに任せてしまうと、虚偽品のサプリメントを購入してしまう可能性が高いので、しっかりとパッケージの読み方を指導してあげてください。

2010.06ヘルシーパス提供

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