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鉄不足発見の為の検査項目「フェリチン」

女性の不定愁訴の原因には、鉄欠乏性貧血が多くあります。貯蔵鉄は欠乏しているのに、ヘモグロビンの値が正常なことも多く、この場合一般の血液検査では貧血を発見するのが困難です。患者さんは、貧血とは診断されないのに体調は悪く、薬も処方できない!いう状態になってしまいます。

想定外に重要な鉄の働き

閉経前の女性の不調の原因の多くに、鉄の不足があります。鉄の不足によって起こりえる症状としては、

  • 疲れやすい
  • 風邪をひきやすい
  • 便秘や下痢
  • 吐き気がする
  • 胸が痛む
  • 冷え性
  • 神経過敏
  • 髪が抜けやすい
  • アザが良くできる
  • 顔色が悪い
  • 立ちくらみ、めまい、耳鳴り
  • 肩こり、腰痛、背中の痛み
  • 寝起きが悪い
  • むくみがある
  • 食欲不振
  • 動悸、息切れ
  • 頭痛、頭重
  • 月経の異常
  • 注意力低下、イライラ
  • 歯茎の出血
  • 湿疹ができやすい
  • のどの不快感

など、多彩なものがあります。

根本的な原因が鉄欠乏にあることを見落として、これらの症状に対応する医薬品を処方しても、なかなか改善は見られず、患者さんは「不定愁訴」と扱われてしまい、辛い症状が継続することになります。

鉄の不足によって、これほど様々な症状が起こるのは、

  1. 鉄が赤血球の重要な構成要素として酸素の運搬に関わっている他に、
  2. ミトコンドリア内でシトクローム酵素の構成成分としてATPの合成に重要な働きを負っていること
  3. カタラーゼやグルタチオン・ペルオキシターゼなどの抗酸化酵素の構成要素となって活性酸素の消去に関わり
  4. 神経伝達物質の生産に関わっている

など、体内で様々な重要な役割を果たしているためです。

鉄欠乏の原因

鉄欠乏の主な原因には、消化器からの出血(胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がん、大腸がんなど)や、痔(特に切れ痔)、子宮筋腫、子宮内膜症、子宮がんなどによる月経過多、その他、種々の部位からの出血、極端な偏食、成長期の学童、妊娠中などがあります。

日本人の場合、太平洋戦争直後の貧しい時代と比べても、鉄の摂取量が4分の1を下回っているという現実があり(国民栄養調査2002年)、毎月多量の鉄を失う閉経前の女性は鉄不足に陥りやすい状況に置かれています

鉄不足は見落とされやすい

一般的に、鉄不足、貧血の判断は「ヘモグロビン(血色素)」で行われ、女性の場合12~16g/dl が正常値とされています。ところが、ヘモグロビンは正常値を示していても、体内では鉄が不足している状況は珍しく無く、一般的な血液検査では貧血と診断されないため、貧血とは診断されないのに体調は悪く、薬も処方できない!という状態になってしまいます。

検査項目としてのフェリチン

フェリチン(ferritin)は、鉄の貯蔵および血清鉄濃度の維持を行う蛋白です。

フェリチンは、球状のアポフェリチンの中に鉄を貯蔵する分子量約44万の可溶性タンパクで、組織中の鉄濃度により変化するため、鉄欠乏性貧血などの鉄代謝異常の指標とされます。

血清フェリチン濃度は、貯蔵鉄量とよく相関することが知られており、血清フェリチン1ng/ml が、貯蔵鉄8~10mgに相当するため、生体の鉄の状態を把握するのに有用であると考えられています。鉄が不足する場合「フェリチンの減少 → 血清鉄の減少 → ヘモグロビンの減少」の様に、フェリチンから減少していきます。このため、フェリチンを検査することで、表向きは貧血でなくても、いずれ貧血になる可能性がある「かくれ鉄欠乏症(潜在性鉄欠乏)」が分かります。

正常値は検査機関によって若干異なるものの、男性20~250ng/mL、女性5~120ng/mLとされていますが、日本人女性には鉄欠乏が多いため、母集団そのものが正常値を代表していないという根本的な問題があります。

フェリチン値 < 12ng/ml であれば、鉄欠乏性貧血と診断できるという考えもあり、実際に30ng/mlを下回ると、上記の様な多くの症状の発生が見られるようです。

【参考】三菱化学メディエンス HPより、スタンダード検査血液学 日本検査血液学会編

2010.06ヘルシーパス提供

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