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アンチエイジング情報TIPS
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近年、精神分野におけるオメガ3系脂肪酸の効果が注目され、精神疾患の予防や進行の抑制に有効であるとのエビデンスも報告され始めています。
私たちが摂取している脂肪には、体内で作ることができず食べ物から摂らなければならない必須脂肪酸があり、その代表的なものが、オメガ3系とオメガ6系の脂肪酸です。
オメガ3系脂肪酸には、α-リノレン酸、DHA、EPA など、オメガ6系脂肪酸には、リノール酸、アラキドン酸などがあります。
オメガ6系脂肪酸は、一般的な植物油や動物の脂に含まれているので、私たち日本人は摂りすぎが心配なほどですが、オメガ3系脂肪酸は、食の欧米化や、魚の摂取量が減ったことなどから、摂取量は少なくなっています。
脂肪酸は、生理活性物質の原料になります。オメガ6系脂肪酸と、オメガ3系脂肪酸から誘導される生理活性物質は作用が異なり、オメガ6系脂肪酸から作られる生理活性物質は、免疫反応を激しくするほか、動脈壁にプラークを作って血栓を形成しやすく、心血管系の病気を増やし、発がんのリスクを高めるとも言われています。一方、オメガ3系脂肪酸のα‐リノレン酸を基にして、体内で生成されるEPAからは、炎症、アレルギーを抑制する生理活性物質が生成されます。このため、オメガ3系と6系の脂肪酸のアンバランスが、近年のアレルギー症状をひどくしている原因ではないかと考えられています。
オメガ3系脂肪酸は、精神疾患でも注目され始めています。第105回日本精神神経学会では、各種精神疾患とオメガ3系の関係を示す文献レビューを行った結果、気分障害や認知症、うつに対して有効性が示されたと紹介されました。また、魚の消費量が多い国ほどうつ病発生率が低く、その最たる国が日本であったが、近年は魚消費量が低下傾向にあり、特に小児から学童期の落ち込んでいることが心配されています。
同学会では、オメガ3系脂肪酸利用の国際的な傾向として、オメガ3系脂肪酸を統合失調症の予防的介入、または、国が推奨食品として児童や妊婦に与えている国や地域があることも紹介しました。日本では、学童期のうつ病患者に対して「選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)」が使用できない事情もあることから、漢方薬やオメガ3系脂肪酸の投与も考慮してもよいのではないか。との見解も示されています。
Am J Clin Nutr. 2003 Jul;78(1):40-6.
Eur Neuropsychopharmacol. 2003 ug;13(4):267-71.
植物油の中で、α-リノレン酸を多く含んでいるものは、多くありません。身近で手に入れることが可能なものは、シソ油(エゴマ油)や亜麻仁油などで、高級スーパーや自然食品コーナーなどに置いてあります。
また、EPA・DHA は、イワシ、サバ、マグロなどの青魚の魚油に多く含まれていることから、これらの魚を意識的に摂取することで補給ができます。
一方、もっと手軽に利用したい場合には、亜麻仁油や魚油のサプリメントのほか、医薬品としてEPA 製剤(エパデール)も存在します。
【参考】
Medical Tribune: 2009.10.15 第105回日本精神神経学会
「健康食品」の安全性・有効性情報 (独)国立健康・栄養研究所
2009.11ヘルシーパス提供