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臨床研究推進委員会 【活動報告】
第三回アンチエイジング医療における臨床データ報告会

ANTI-AGING MEDICINE 2012 Vol.8 No.6
日程 2012年8月4日(土)、5日(日)
会場 北海道 然別湖畔温泉 ホテル風水

アンチエイジング医学臨床研究推進委員会が主催する臨床データ報告会を、8月4日(土)、 5日(日)の2日間にわたり開催致しました。本会は、開業医を中心に抗加齢医学の臨 床現場での研究を進め、成果発表と情報交換の場の拡大を図ることを目的として発足し、今回の報告会が3回目。参加者は、認定医療施設5施設を含む14施設の医師、コメディカルスタッフの他、渡邊昌先生、米井嘉一先生、山田秀和と3名の理事が加わり総勢43名。

国立公園の湖に面する豊かな自然環境の中、毎回ながら、興味深いブレゼンテーションと活発なディスカッションに楽しいコミュニケーシヨンが続きました。特に今回は栄養・食事指導に触れる熱いディスカッションの展開から、医療現場で多様な対応が求められており、情報が混濁している一方でカスタマイズなサービスとして必要不可欠になっていることを強く感じました。

総会(学術集会)は、最先端の研究の情報、新たな知見を習得する最大の機会でありますが、このデータ報告会は、日々患者さまと向かいあっている臨床医にとって身近な情報源であり、課題の解決に役立つという意味で大変有意義な会だと考えております。報告会を通じて、常にテーマや課題を見つけ、臨床を通じて学会に貢献していきたいと思います。また、地域における臨床現場での医科と歯科の連携も図っていきたいと考えております。

今回の会場の手配をはじめ、世話人として運営に多大なこ協力をいただきました満岡孝雄先生を始め満岡内科・循環器クリニックの皆さん、会の運営をお手伝い頂きました株式会社ヘルシーパス社の皆さん、ありがとうこざいました。来年、大阪での再会を楽しみにしています。

臨床推進検討委員会 委員長 山田 秀和

報告会ダイジェスト

3年5か月にわたるアンチエイジングドックから約100例のまとめ
満岡孝雄(満岡内科・循環器科クリニック)

最北の日本抗加齢医学会認定施設における、アンチエイジングドックの症例報告が行われた。

3年5か月で98名が受診され1/4がリピーターである。

「テストステロンが低い人が多い。男性(8.5以下)は半数、女性(0.3以下)はほとんどが目 標値を下回つている。女性でも補充してあげる方が元気になって良い。」「フェリチンを測ると、女性のほとんどが60以下で低い。ヘム鉄だけだとなかなか数値が上がらないことが多く、フェロミアを投与する方が改善を望める。」「北海道の人は、血清中のビタミンD濃度が低い事が多い。1日1000IUの補充をすると3ヶ月程度でしっかり上がってくる。」「高齢の女性に血清アルブミンが低い人が多い。タンパク質(アミノ酸)の接種を進めるべきと思われる。」など、興味深いデータの紹介があった。

受診者には、主としてホルモン療法、サプリメント、運動指導等を行っており、良いサプリメントにはきちんと実感がある。

軽度認知障害に対するエグノリジンの効果について
長屋直樹(東京トータルライフクリニック)

日本では、2020年に300万人を超えるというペースで認知症が増えている。その予防に有効な手段であるかどうかを判断すべく、軽度認知障害 と診断された方に、フォスファチジルコリンのサプリメントである「エグノリジン」を投与しリバーミード行動記憶検査(RBMT)に より効果を検証した臨床報告が行われた。

3~6ヶ月の摂取により改善が見られている3症例の紹介があり、軽度、中程度の認知症の全体で8割」くらいの奏効率。

今後、症例数を増やして効果の検証を続けて行きたい。

レスベラトロールの大量摂取による効果の予備的試験
田中孝(田中消化器科クリニック)

日本人男性6名を対象に、ブドウ由来のレスベラトロールを 150mg/日、2月間摂取してもらい、血液検査、抗加齢医学会共通間診票のデータを摂取前後で比較した試験結果の発表があった。

2011年に Cell Metabolism 誌で発表された、米国人の肥満男性を対象とした同様の実験で報告された結果(血糖値、中性月旨肪、ALP、炎症マーカー、インスリン抵抗性等の改善)は今回の試験では観察されなかった。

今回の実験の被験者が米国の様にBM130を超えるような人が対象ではなかったことや、 天然由来のレスベラトロ一ル(米国の試験は合成物を使用)を使用したことが、結果の差異の原因かもしれない。

東海大学抗加齢ドック・ライフケアにおけるデータ解析
石井直明(東海大学医学部 基礎医学系・分子生命科学)
池内真弓(東海大学医学部ライフケアセンター)

東海大学の健康医科学研究体制の説明と併せて、1,139名が受診した抗加齢ドックのデータ解析の報告があった。半分くらいリピーター存在する。

PWV は、年齢とともに上がるのに、アンチエイジングドックのリピーターは上がらない。また、8OHdGやイソプラスタンが低下し、アディポネクチンも少し改善するので、抗加齢ドックの受診とその後の指導は意味があると考えられる。

運動と栄養の介入研究として、マルチビタミン&ミネラルのサプリメントを55~65歳の開経後女性280名に3ヶ月摂取してもらった実験の結果も報告さね、ALT、AST が増加し、骨代謝マーカーが有意に低下した。また、血清中亜鉛の改善が見られた。

歯科における見た目のアンチエイジング治療が QOL に及ぼす影響
清水洋利(パールデンタルクリニック)

歯科領域の抗加齢医療に対する患者さんの意識を、7クリニック686名へのアンケートによって調査した結果の報告があった。歯科領域において抗加齢医療を提供する際には、「具体的な症状の予防」としてお勧めするのが有効であること、また、歯科医院に来院する患者さんの半数は、何らかの全身疾患や不調を持つているので、そうした疾患ヘの配慮が重要である。

また、ヒアルロン酸等を使用して歯科領域で可能な範囲の見た目の改善を施すことにより、だるい、健康感がない、肌の不調、便秘(女性)が改善する傾向が見られ、不定愁訴や心の症状の改善に役立つ可能性がある。

アンチエイジグドックにおける見た目の取り扱いについて
山田秀和(近畿大学医学部奈良病院)

望診により見た目をしっかり把握することが、アンチエイジングの領域で重要になることが紹介された。皮膚(色、しわ、キメ)、容貌(脱毛、顔の形、色)、体型(ライン)などが、体内の状態や疾病のリスクを表していることが分かってきている。

例として、身長とガン、乳房の大きさと乳ガン、腹囲周囲と CKD、足の長さと健康(短いとメタボ、長いと前立腺がんのリスク大)などが挙げられ、身体全体の状態を知るには、AGA、顔面計測、たるみがキーポイントと考えられ、体の各部を測定することで将来の疾病リスクが予想できる。

草食系男子vol.2
小西未来(池岡クリニック)

いわゆる草食系男子(色白、筋肉が少ない、穏やか)は本当にテストステロンが低いのかについて、40歳以下の24名を評価した結果が発表された。それによると、草食系男子の遊離テストステロンは全体的に低いことが分かつた。また、コルチゾールが高いこと、筋肉量が少ないことも傾向として見らねた。被験者の中で、テストステロンが特に低い10名を見てみると、DHEA-s、IGF-1、FSH、LH、プロラクチンなどのホルモンも低値であった。

また、テストステロン低下群は漢方でいう牌気虚(虚弱)の状態を示していることが多いこと、パートナーの有無はテストステロン値や性機能と関係が無かった。

顎口腔系の生涯維持とアンチエイジング
別部尚司(別部オーラルヘルスケア&クリニック)

歯科と全身とのかかわりや、歯科治療に対する根源的な取り組みについて講演。

本質的な歯科医療は、顔の下半分(頭頚部下顎分)を正常化する過程と捉えるべきであり、歯を抜く・削ることよりもまず、「アンチエイジング=寝たりきりや認知症にならずに QOL (生活の質)が高い状態=いつも笑顔で人生を送ること」を実現する医療情報や医療を提供することが先立つ。歯科も口の中をみるだけでなく、生涯健康を維持するために、総合的な医療提供することが必要である。

「ガムをかむと、脳は活性化する」「総入れ歯の人はがんになりやすし」「マウスの実験では咀喝不全が海馬の神経細胞死につながるので、きちんと噛めない状態が、認知症につながる可能性がある」「歯周病は感染症であり、一気に治療しないと別のところに移動するだけ」などは、興味深いトビックスだ。

ナグモ式ダイエットの経験
井出下久登(いでした内科・神経内科クリニック)

患者さんへの指導の際に説得力を増すために自分自身で取り組んだ、ナグモ式ダイエットによるチャレンジの経験報告が行わねた。

夕食以外は最初に茶碗と皿の大きさを決めてお代りをしない。夕食は好きなものを好きなだけ食べる。野菜や果物を丸こと食べる。ゴボウの抗酸化成分を取り入祖る。などの実践により、1月に4kgの減量に成功した。

この報告は、参加者の間では健康に良い食生活について の活発なディスカッションの呼び水となり、「栄養不足で運動すると血液像が悪化する。運動指導士の血液像は良くないことが多い(石丼先生)」 「1日一食は、筋肉の減少が心配。消化器官への負担を考えると3食食べるのが一番良い と思う(渡邊先生)」 などの意見があいついだ。

地方におけるアンチエイジング複合施設の取り組み
岩波佳江子 (前橋温泉クリニック)

前橋温泉クリニックで行つているアンチエイジング医療の現状として、アンチエイジングドック、整形外科 、美容治療 、そして、一般の方でも利用できる前橋温泉を利用した湯治(スリムスパステイ)、 太極拳 、フラメンコ・フラダンス教室、茶室など多彩なメニューが紹介された。

整形外科が専門の岩波先生はフラメンコのダンサーでもあり、フラメンコは脚を打つ動作があるため、骨密度を上げるのに好適で姿勢も良くなる。ゆっくりした動作の太極拳も筋肉の維持に役立つ。

また炭水化物の摂取を抑えることで症状が改善した症例の報告があり、それをきつかけに 、参加者の間で糖質制限食に関するディスカッションとなつた。

鉄欠乏による症状改善に最適なヘム鉄の摂取量及び相乗効果を発揮する栄養素の検証
浦田哲郎(浦田クリニック)

血液検査で鉄の欠乏を発見し、鉄斉」を処方しても副作用で服薬を継続できない人が多い。その場合 、サプリメントのヘム鉄を使用すると、自覚症状の面からは改善が見られる一方、なかなか指標としているフェリチン値の改善が見られないことがある。

こうしたことへの理解を深めるために行つた摂取量や同時に摂取する栄養素の組合せで、5群に分けてのヘム鉄摂取試験を行つた。

ヘム鉄は鉄として 18mg/日をビタミンCと併用するのが望ましく、12週以上継続するべきという結論であつた。

このテーマも参加者の関心が高く、「フェリチン値を高くし過ぎると、フェントン反応を招きそうなので50くらいが適当なのでは?」 「フェロミアの量を減らして服薬してもらう方法もある」 「鉄の静脈注射は一気に効果が出るが、酸化ストレスが心配なので継続はしない方が良し」 など、活発なディスカッションとなつた。

共通間診票のデータ解析について
米井嘉一(同志社大学アンチエイジングリサーチセンター)

QOL 共通間診票は男性 3,300人 、女性 2,200人のデータが集まっており、分析すると男女差や年齢による差が無い為、性差や年代差を超えて共通に使用でき、 比較検討も可能である。問診票には、介入によって発生した有害事象の発見に利用で きるという機能もある。

今後せっかくのデータを活かすため、学会として蓄積して会員のために活用できるデータベースの構築を目指したい。

参加者からは、「血液検査データとリンクしたデータベースにして欲しい」「臨床家が自院のデータを提供して、解析に詳しい研究者に多変量解析などを実施してもらえると嬉しい」「データを提出したことに対するメリットが分かる様なマネジメントを行えば、データは順調に集まる」などのリクエストや意見がよせられた。

臨床データ報告会としての活動提案
山田秀和(日本抗加齢医学会臨床研究推進委員会)

臨床データ報告会として、まとまった方向性を持って活動して行けると嬉しい。総会で、この集まりからシンポジウムや、一般演題、を出していけるように検討したいとの提案があった。

その後、参加者全員から抗カロ齢医学を臨床現場で実施するための提言要望が寄せられた。

次回開催について

来年7月27日(土)、28日(日)に 、大阪で第4回を開催することが決まりました。参加をこ希望の場合は、事務局までこ連絡をお願いいたします。参加の対象は、日本抗加齢医学会認定医療施設ならびに認定医療施設を目指す施設です。

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