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究極の予防医学!?アンチ・エイジング

暮らしと健康の月刊誌ケア 2010年11月号

不老不死、若返りの薬など、昔から人は若返る方法を模索してきた。科学が進歩した現代においても、老いを防ぐ挑戦は、アンチ・エイジングという最新の医学において試みられている。そのアンチ・エイジングについて、満岡内科・循環器クリニック(帯広市)の満岡孝雄院長に解説してもらった。


老化は『さびる』『しぼむ』『風化する』
とくに酸化によるさびの蓄積が問題

「いつまでも、『若さを保っていたい』、『健康でいたい』という願いは、多くの人の想いでもあります。とくに、社会の高齢化が進む中では、健康に老いることは、自分自身だけでなく、介護保険なども考えると、社会全体の問題でもあるといえるでしょう。

アンチ・エイジングは、抗加齢医学のことをいい、近年はさまざまな情報媒体で目にする機会が増えました。しかし、今の日本では、アンチ・エイジングといえば、美容外科や美容皮膚科が取り扱う、外的な若返りというイメージが先行しています。確かに外的な若返りも広い意味でアンチ・エイジングの一つといえますが、本来のアンチ・エイジングとは、外見だけでなく、体の中から心身共に若さを保ち、元気で聡明な高齢期を迎えるための医学であり、それは究極の予防医学といえるものです」(満岡院長)。

日本でアンチ・エイジングの学会が設立されたのが、2001年。アメリカでは、1990年代初めにすでに学問として、老化の防止、などについて、科学的な根拠に基づいた研究が行われている。

「アメリカは、国民皆保険といえる日本とは異なり、誰でも平等に質の高い医療を受けられるというわけではありません。高い保険料を支払うことのできる裕福な人はさまざまな治療を受けられますが、金銭的に余裕のない人たちは保険に入ることもできず、そのために医療費は高額となってしまい、受診できないという悪循環となります。そのため、医療を受けなくても済むよう、予防医学の研究に対するニーズも高いのです。

一方、日本では、誰もが一定水準の医療を受けられるという安心感からか、比較的予防医療に対する意識が低いように感じられます」。

予防医学としてのアンチ・エイジングだが、その予防の対象となる老化を理解する必要がある。老化とは、何を指すのだろうか。

「多くの方々の死因となっている、がん、心筋梗塞、脳卒中、そして認知症は、どれも老化と深く関係しています。

老化とは、『さびる』『しぼむ』『風化する』という三大老化作用の相乗的な関わりによって進行していきます。とくに『さびる』ことは、生きていく上で避けられない重要な問題です」。

『さびる』とは、酸化を指す。人の体を構成する細胞内では、ミトコンドリアが酸素を利用してエネルギー代謝を行っている。この代謝の際に、活性酸素が発生してしまう。活性酸素は、燃えかすのようなもので、溜まっていくと、細胞だけでなく遺伝子にまで悪影響を及ぼす。これが各器官の変化をもたらし、さまざまな病気を引き起こすという。

老化の一つの目安が酸化ならば、どの程度酸化しているのか調べることが、老化の進行具合を知る手だてとなる。

満岡内科・循環器クリニックでは、こうした老化の度合いを知るためのアンチ・エイジングドックを行っており、今年1月には道内で初めて、日本抗加齢医学会の認定医療施設として指定を受けた。

「当院のアンチ・エイジングドックでは、アンチ・エイジングのために何が必要なのか、科学的に明らかにするために、いくつもの検査を行っています。

酸化に関しては、DNAが酸化されることで生じるさびの破片、8-OHdGという物質や、血中ラジカル生成能、コエンザイムQ10酸化率などから、酸化度を割り出します。

一方、どれだけ酸化しているのかだけではなく、酸化に対してどれだけ防止する力があるのかも、老化防止にとって重要です。そこで、血清中のビタミンEやC、尿酸、リコピン、βカロテンといった抗酸化物質の量も測定し、さび具合とさびを消去する能力のバランスを調べます」。

前述したように、脳卒中や心筋梗塞なども加齢と関係が深い。こうした病気の元となるメタボリック・シンドロームの状態も、加齢度に影響を与える。そこで、動脈硬化、肥満などの各種マーカー、脂肪細胞から放出される悪玉物質や善玉物質を測定し、メタボリック・シンドロームの早期発見に役立てている。

また、とくに高齢女性で問題となっている骨粗しょう症に関しても、破骨細胞因子と骨芽細胞因子のそれぞれを測定している。

「ホルモンは、内分泌腺から分泌され、免疫、神経と並んで健康維持には欠かせない存在です。このホルモンも、加齢によって増減し、バランスが崩れることで、さまざまな病気を引き起こします。

近年は男性にも更年期障害が起こることが分かってきましたが、これもホルモン低下とストレスが要因といわれています」。

筋肉や骨、皮膚などの成長を促すとともに、壊れた細胞組織を修復するヒト成長ホルモン、中高年以上の女性にときにみられる症状のない甲状腺機能低下症をみつけるための甲状腺刺激ホルモンのほか、細胞を守る・作る作用のDHEA、女性ホルモンの一種エストラジオール、男性ホルモンのテストステロン、ストレスと共に上昇するコルチゾール、などの各種ホルモンの測定は加齢度を知る上で重要である。

「さらに毛髪に含まれるミネラル、血中の各種ビタミン値も加齢度合いの目安となります」。

加齢と生活習慣病とは密接に関連している

「このように、加齢はさまざまな要素が複雑に絡み合うことで進行していきます。しかし、これは高齢者だけの問題ではありません。体の調子が悪くて医療機関を受診したのに、どこも悪い部分がなく、病名がつかずに治療できなかった人でも、アンチ・エイジングドックを行い、多角的に検査してみると、ホルモンバランスの乱れが見られたり、抗酸化能力が低下していることが分かることがあります。

つまり、まだ老化が問題とならない若い年齢の人でも、老化の要因となっているホルモンバランスの乱れによって、体に不調が生じたりするのです。老化は、生まれたときから始まっているものであり、若いうちから意識して予防することが、健康的な生活につながります」。

老化予防には、さびを溜めないようにすることと、さびをなくしていくことが大切で、そのためには、とくに栄養バランスを中心とした生活習慣が大きく関係している。

「酸化を予防したり、溜まったさびをなくすのに、各種ビタミンが役立ちます。しかし、ビタミンは体内では合成できない物質のため、いかに食事から摂取するかが課題となります。

しかし、毎日バランスのとれた食事を作ることは簡単なことではありません。また、同じ野菜でも、以前と比べ、今では含まれる栄養価が減っているともいわれており、食事だけでバランスよくビタミンを摂取するのは困難です。場合によってはサプリメントなどで、足りない分を効率よく補充することもよいでしょう。さらに、適度な運動も酸化防止に役立つほか、十分な睡眠、仕事や遊びも無理をしないこと、なども抗加齢につながります。

こうしてみると、抗加齢は今話題のメタボリック・シンドロームや生活習慣病の予防ともつながっていることがわかります。まさにアンチ・エイジングは究極の予防医学といわれるゆえんです。老化を少しでも防ぐだけでなく、普段から健康を保つ観点からも、アンチ・エイジングは今後発展が望まれる医療です」。

>> 暮らしと健康の月刊誌ケア

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