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アンチエイジング医療における運動および食事指導〜肥満解消・サルコペニア予防を中心に〜

Exercise and nutritional guidance in anti-aging medicine -Focus on elimination of obesity and prevention of sarcopenia-
小田慶子、満岡孝雄
満岡内科・循環器クリニック
アンチ・エイジング医学14(6):068(808)-075(815), 2018.

SUMMARY

I have been in charge of nutritional guidance for patients with lifestyle-related diseases. Previously, I suggested a calorie-restricted diet in which the patients were free to eat anything, but were limited in the quantities they were allowed to eat. I often heard patients say "I have not eaten so much". One day, I heard about the low carbohydrate diet, where you could eat as much as you want, excluding sugars. However, I was confused by the difference between this and the calorie-restricted diet, the former being the recommendation of the director. Therefore we decided to concretely start targeting weight loss. In anti-aging medicine, the elimination of obesity and prevention of sarcopenia is a big topic. Diet and exercise that are easy to continue on a daily basis are desirable. This time we will introduce what we are doing in rural clinics, such as the effect of a moderate low carbohydrate diet on weight loss, as well as muscle-building that can be started from any age.

キーワード
緩やかな糖質制限食、カロリー制限食、肥満、サルコペニア、低タンパク食、運動習慣

はじめに

小田慶子
満岡内科・循環器クリニック管理栄養士
1970年札幌天使女子大学卒(現 天使大学)。帯広厚生病院、同健康管理センター、帯広市健康推進課を経て、2011年より現職。2012年、日本抗加齢医学会指導士に認定。

当院は北海道東部、十勝平野の中心地方都市である帯広市にある。十勝の人口は32万、帯広市は17万である。十勝の主産業は農業で、食料自給率は驚きの1,100%、地域は食環境に恵まれている。当院は、市街地から車で20分ほど離れた、隣町に接する市の外れで、緑豊かな地域にある。約10年前の2008年に道東初のアンチエイジングドックおよび医療を始め、2年後に北海道初の日本抗加齢学会認定医療施設となった。

当院の患者にも高齢化が進んでいる。少しでも要介護を遅らせるために、究極の予防医学であるアンチエイジング医療は、身近なところで必要とされている。地方の管理栄養士がやっていることを、肥満解消・サルコペニア予防を中心に紹介したい。

緩やかな糖質制限食について

今までの減量指導の主流はカロリー制限食(以下、カロリスと略す)であった。今、栄養学は大きな転換期にあり、緩やかな糖質制限食=ロカボ食はメタボ解消を期待できる食事法として注目を集めている1)。それまで糖質制限食(以下、糖制食)について静観していた日本医師会は、2016年に、日本糖尿病学会のリーダーの一人である植木浩二郎先生のコメントをニュースレターの形ではじめて表明し、糖制食を認めた上で、その制限の度合いでは注意が必要とした2)

図1で、糖質制限の度合いで、現在の日本人、極度、高度、中等度に分けた。現在の日本人は、1日総カロリーの60%が糖質で、脂質が20〜30%、たんぱく質が13〜20%である。2番目の極度は、ケトン食とも呼ばれ、1日の糖質を総カロリーの10%以下、すなわち1日20〜50gの糖質とする。このレベルでは、多くの人がケトン体をエネルギー源として利用することになる。高度は、1日50〜130gに糖質を制限する。このレベルではケトン体は作られないとされている。中等度は1日の糖質を130〜約200gに、1日総カロリーの約40%以下に糖質を制限するというものである。肥満にならないために約40%以内の糖質が推奨されているので、当院では2016年に、1日総カロリーの40%に糖質を制限する「緩やかな糖制食」を導入した。

図1.糖質の1日摂取量で極度、高度、中等度に分けた糖質制限食

図1糖質の1日摂取量で極度、高度、中等度に分けた糖質制限食

現在のエネルギー比率は、糖質60%、脂質20〜30%、タンパク質13〜20%である。極度の糖制ケトン食は、1日の糖質20〜50g、総カロリーの10%以下で、多くの人がケトン体をエネルギー源として利用する。高度の糖制食は、1日の糖質50~130g、総カロリーの10〜25%で、このレベルではケトン体は作られない。中等度の糖制食は、1日の糖質130〜約200g、総カロリーの約40%で、当院の緩やかな糖制食は中等度を導入した。

管理栄養士による緩やかな糖質制限食の実際

管理栄養士の緩やかな糖制食の指導を受けた患者は、肥満が認められ、糖尿病、耐糖能異常、脂質異常症、脂肪肝などをもつ14名(男6名・女8名)であった。年齢は54〜76歳で、平均61.3歳であった。緩やかな糖制食の指導期間は2016年1月から2017年4月までで、食事指導の回数は2〜9回、平均4.9回であった。

緩やかな糖制食を指導するにあたり、1日の糖質150〜200g「簡単めやす」(図2)、「糖質量、早わかり表」などの患者用リーフレットを作成した。これで食品中の糖質量を具体的に知ることができる。また「手のひら」サイズで摂取する食品の「めやす量」を教えた。主食は半分、果物・スイーツは1日半分、おかずは減らさず毎食「片手のひら分」1〜2皿、野菜は毎食「両手のひらいっぱい」というふうに指導した。また、表1に示した食べる順序についても指導した。詳しくは後述する。

図2.緩やかな糖質制限食のリーフレット

図2緩やかな糖質制限食のリーフレット

多く含まれている栄養素を食品別に縦列のグループに分けて糖質量を設定した。主食80〜100g、主催のおかず10g、野菜のおかず17g、果物10〜15g、乳製品10〜15g、油とナッツ類3g、調味料10g、嗜好品10〜30g、各グループの糖質量を守ると1日の糖質150g〜200gになる。手のひらサイズと絵から「簡単目安」を指導した。この他に「糖質量、早わかり表」のリーフレットを作成して、いつも使う食材の糖質量を知る資料とした。(参考:日本食品成分表2015年版(七訂))

表1.緩やかな糖質制限食のための「食べる順序と注意」
  1. まず最初に、野菜、おかず、味噌汁、スープなどを食べる。これらは制限する必要はない。
  2. 最後に主食を食べる;今までの半分に控える。
    たとえば ご飯茶碗軽く1/2善 or 食パン1枚(6枚切)or 麺半玉 or いも類 1/2個(Mサイズ)
  3. スイーツは食べない。どうしても食べたい時は半分。果物は1日片手のひらサイズ。
  4. 清涼飲料水はだめ!お酒はビール、日本酒より焼酎、ウィスキーを。

患者から提出された「1日の食事メモ」を簡易計算し、摂取糖質量を教えた3)。後日、スマート栄養計算(医歯薬.日本食品成分表2015)で栄養素を計算した。

緩やかな糖質制限食の減量効果

図3に緩やかな糖制食の減量効果を示した。男性では2.0〜7.0kg、女性では1.5〜9.0kgの減量を認めた。女性より男性の減量効果がつよい印象を受けた。

図3.緩やかな糖質制限食の減量効果

図3緩やかな糖質制限食の減量効果

緩やかな糖制食を実施した6名、女性8名の減量効果を示した。男性は2.0〜7.0kg、女性は1.5〜9.0kgの減量を認めた。

カロリー制限食と緩やかな糖質制限食の比較

緩やかな糖制食を実施した14名中7名は、その前にカロリスを行なっていた。その7名についてカロリスと緩やかな糖制食の比較を行った。

摂取総カロリーの設定は標準体重(身長m×身長m×BMI 22)×0.3〜0.5単位(活動量)×80kcalで算出した4)。したがって両食事法で指示した摂取総カロリーは同じである。

図4に体重変化の比較を示したが、緩やかな糖制食で、7名中5名に体重減少を認め、減少幅もカロリスより大きい傾向があった。2名では糖制食で体重が増加した。この2名はカロリスで体重がすでに4.5kg減っており、糖制食を導入してみても、さらなる効果は出なかった。

図4.カロリー制限と緩やかな糖質制限食の体重変化の比較

図4カロリー制限と緩やかな糖質制限食の体重変化の比較

緩やかな糖制食を指導した14名中7名は、カロリスから緩やかな糖制食に切り替えた。横軸の( )内はカロリスの実行月数を示し、その右の数値は緩やかな糖制食の実行月数である。後者は長くても13ヵ月で、前者より短い。緩やかな糖制食によって、7名中5名は1.5〜9.0kgの体重減少を、2名に1.5〜2.5kgの体重増加を認めた。

提出された食事メモから、カロリスと緩やかな糖制食の1日の摂取総カロリーとその中の三大栄養素の比率を比較してみた。1日の摂取総カロリーは、カロリスでは平均1,742キロカロリー(1,209〜2,394kcal)、緩やかな糖制食では平均1,352キロカロリー(892〜2,026kcal)であった。糖質は、カロリスでは平均57.6%(45.6〜71.9%)、緩やかな糖制食では平均37.8%(25.8〜58.6%)まで低下した。タンパク質は、カロリスで平均15.4%(10.0〜18.1%)、糖制食で平均17.6%(15.3〜25.5%)と糖制食で増えた。脂肪は、カロリスで平均27.0%(12.2〜38.6%)、糖制食で平均30.2%(23.4〜53.3%)と脂質摂取も増えていた。後述するが、糖制食では、たんぱく質と脂質の摂取が増えているので、体重減少には糖質摂取の減少が関係していると考えられる。

次に摂取された脂肪の内訳について検討した。飽和脂肪酸は、カロリスで平均15.5%(4.0〜34.3%)、緩やかな糖制食で平均12.3%(6.2〜32.4%)と、両者で大きな変化はなかった。このことから脂肪のうち増えたのは、不飽和脂肪酸ということになる。

患者にとってカロリー計算にもとづいて行うカロリスより、緩やかな糖制食の方がより実行しやすいような印象を受けた。

症例提示

チャンピオンケースの1例を示す。62歳女性で、体重72キロ、BMI 28で、糖尿病、脂質異常症、脂肪肝、高血圧症、甲状腺機能低下症をもっていた。処方は、ベザフィブラートSRT (200) 2T/日、チラーヂンS (50) 1T/日、アムロジピン (5) 1T/日であった。4年ほどで体重が10kg増え、1,600kcalのカロリー制限食を指導した。図5に本例の体重推移を示した。カロリスで72kgから65.5kgまで減量できたが、体重が戻ったので緩やかな糖制食を指導した。指導終了時には63.0kgまで減量し、その後は体重の維持ができている。

図5.チャンピオンケースの体重とBMIの変化

図5チャンピオンケースの体重とBMIの変化

カロリスと緩やかな糖制食を実施したチャンピオンケースを示す。縦軸(左)は体重、(右)はBMIを示す。カロリスの実行月数は35ヵ月。体重は72kgから65.5kgまで減少したが、その後72kgに戻った。続いて、緩やかな糖制食を開始した。カロリスより短い実行月数(13ヵ月)であったが、体重は63.0kg、BMIは24.3まで減少した。

本例の検査結果の推移であるが、この間、処方は変えていない。採血は空腹時ではない。体重減少とともに、肝機能の正常化(糖制食前→後;GOT:57→23,GPT:53→14,γGTP:27→16)を認め、中性脂肪も200を超えることはなくなり、LDLコレステロールはいくらか低下し(105→90)、HDLコレステロールは増加(43→56)、HbA1Cは低下(5.8→5.3)した。糖質制限によってLDLは低下、HDLは増加すると言われているが5)、当院でもそのことが確認できた。

本例の糖制食での栄養素の変化をみた。1日の総カロリーの指示は1,600kcalであったが、カロリスでは平均1,660kcal、糖制食では平均1,429kcalでカロリー制限になっており、これが体重減少に結びついたと考えられた。たんぱく質はカロリスで平均16.2%から糖制食で平均19.3%にいくらか多くなり、脂質はカロリスで平均29.5%から糖制食で平均37.0%に多くなっていた。糖質は当然ながら、カロリスで平均54.4%から糖制食で平均43.7%に少なくなった。脂質が増えているが、その中身の変化についてみると、飽和脂肪酸には大きな変化はなく、その代わりに、一価と多価の不飽和脂肪酸が増えていた。これは、糖質制限により、シュークリームやタルトの摂取が減り、魚やオリーブ油の摂取が増えたためと考えられた。

次に食物繊維やビタミン・ミネラルの変化をみた。両食事法による大きな変化は認められなかったが、カルシウム、亜鉛、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンDなどは不足の時もあり、糖制食時にも、マルチビタミン・ミネラルなどのサプリの利用は必要かもしれない。

外来での院長による簡単な「緩やかな糖質制限食」指導の効果

管理栄養士の緩やかな糖制食の効果を見て、栄養指導を受けてもらいたいが、時間がとれない患者に、緩やかな糖制食のワンポイントレクチャーを院長が外来で試みた(実行月数平均10か月)。栄養士作成のリーフレット(図2)を用いながら、外来で患者に説明した。1日の糖質は150〜200gを目安に、糖質が多いのは、ご飯やパン、麺類などの主食と、ケーキやお菓子類、それに清涼飲料水であることを理解してもらう。食べる順序(表1)は、まず最初に、野菜、おかず、味噌汁、スープなどを食べる。これらは制限する必要はないと強調する。最後に主食を食べる。主食は今までの半分にする。スイーツは一切なし、どうしても食べたい時は、これも半分に。果物は1日片手のひらサイズ。清涼飲料水は控えて、お酒はビールや日本酒より焼酎やウイスキーを選ぶ、と説明した。

外来で7名に緩やかな糖制食を指導した。7名中5名に減量効果があり、うち3名は4〜5kgの減少だった。外来でのワンポイントレクチャーでも一部の人には効果があることがわかった。

糖質制限食の今後の課題

緩やかな糖制食は、糖質を制限した分、脂質とたんぱく質が増えることになる。たんぱく質の腎臓に対する負荷を考える時、1.5g/kg/日 ほどが上限であろう。したがって、糖質を減らした分、多くは脂質で補うことになる。減量目的に半年から1年ほどの緩やかな糖制食は問題ないように思われるが、これが長期に行われたとき、その裏返しである高脂肪食の影響が出てこないか気にかかる6)。また今年(2018年)、米国のコホート研究が発表され、糖質摂取量と死亡率はU字関係を示し、糖質摂取比率が50〜55%で死亡率が最も低くなると報告した。また、糖質を制限した分、たんぱく質や脂肪が増えるが、その代替食品として動物性のもの(子羊の肉、牛肉、鶏肉)より植物性のもの(野菜、ナッツ、ピーナッツバター、全粒粉パン)を摂取した方が死亡率は低いとした7)

緩やかな糖制食も減量ができたら、50%ほどの糖質制限に切り替えるべきかもしれない。50%でも日本人の場合、現在60%ほどの糖質を摂っているので、糖質制限となる。また、大豆などの植物性のタンパク質は腎症進展抑制が期待される8)ので、タンパク源としては植物性の食材で摂ることが良いかもしれない。

サルコペニア予防のために

2017年の日本人の平均寿命は、女性87.3歳、男性81.1歳であったが、人の世話にならず自立した生活をおくれる健康寿命は、2016年は女性74.8歳、男性72.1歳であった。その差の約9〜12年間は何らかの介護を受けている。要介護者の約25%は、脳血管障害、心疾患、ガン、認知症などの疾患を有さない、すなわち運動器障害によって要介護となっている。

運動器障害をもたらす主たる原因は、サルコペニア(筋肉減少)である。特に女性は、閉経後の骨粗鬆症に加え、サルコペニアによって転倒しやすくなり、容易に骨折を起こし、寝たきりになる例も少なくない。心身ともに若さを保ち、高齢になっても自立した生活ができることを誰でも望んでいる。

当院ではサルコペニア予防のために、体組成計(InBody)にて筋肉量や内臓脂肪量のチェックを勧めている。骨格筋量が90%を切るとサルコペニアと考えられ、90〜99%はサルコペニアの予備軍として、タンパク質の摂取と筋トレを勧める。また、ドックなどで血清アルブミン値が4.3g/dl以下なら、フレイルに陥るリスクがあるとして9)、これもまた意識的にタンパク質摂取を増やすように指導している。

1日に必要なタンパク質を摂るには、卵1個、納豆1パック(40g)、魚(手のひらサイズ)、肉(牛、豚、鶏などを手のひらサイズ)、牛乳コップ1杯などを、朝、昼、夕食のどこかで摂ることを勧めている。1つの食品に偏らないで、3食の中にこれらを組み入れると、筋肉をつくるのに必要なバリン、ロイシン、イソロイシンなどの分枝鎖アミノ酸(BACC)はじめ、体重70kgまでは各必須アミノ酸推奨量を摂取できる。

運動には一般にウォーキングが推奨されるが、歩くだけでは筋肉は増加しない。筋肉増強のためには、ダンベル体操、ステップ運動、スクワットなどの筋トレが必要であり、栄養面からは筋肉再生に必要な分枝鎖アミノ酸を多く含むサプリやタンパク質を運動直後に摂取することを勧めている。

腎機能維持のために

慢性腎臓病がなくとも、加齢とともに腎機能は徐々に低下してくる。eGFR(推算糸球体濾過量)が60ml/min/1.73m2を切ってくると、「低タンパク食」を意識してもらう。しかし実際のところ「低タンパク食」の継続にはたんぱく質の計算、食材選び、など大変な努力を要する。

当院では「おかず」を減らさず低タンパク米を使うシンプルな方法を勧めている10)。低タンパク米はホリカフーズ株式会社の「ピーエルシー米1/20」(以下ピーエルと略す)を用いている。100g中のたんぱく質は0.1g(普通ごはん2.5g)で、節約分のタンパク質は「おかず」でとり、ピーエルでエネルギーをしっかり確保する。体重減少、エネルギー不足がみられた場合は、MCTパウダーで補足する。味噌・醤油・塩の三大調味料の使い方で減塩する。味噌汁1日1杯まで、醤油(減塩醤油)は「つけ醤油」で毎食小さじ1杯まで、塩・コショウは、塩なしで香辛料の利用を多くする。カリウム・リンのコントロールは、ゆで野菜を使う、果物は1日半個、加工食品は控える、などの実行しやすい決まりをつくる。「何を、どのくらい、どうやって食べたらいいのか?」を改善できるように、数か月ごとに食事指導を継続している。指導時には、血清クレアチニン値、eGFR、24時間蓄尿検査(尿タンパク排泄量、塩分摂取量、タンパク質摂取量、カリウム摂取量)を確認し、食事メモを評価して改善点を指導する。なるべく透析導入を遅らせて、腎機能を守り元気な生活を維持することを目標にしている。

運動のすすめ

縮こまった筋肉のままの歩行は、つまずいて転倒し骨折する危険がある。壁を背に「立ち姿のチェック」と、関節可動域を広げて硬くなった筋肉を「ゆっくり伸ばす」静的ストレッチは、毎日の継続で柔軟な体づくりに効果がある。最近の新聞で、静的ストレッチは筋力アップに効果があり、腰痛・膝痛を解消できるという嬉しい報告を見た。

簡単で実行しやすい「椅子使用ストレッチ」「ながら筋トレ」を患者に提案している。「椅子使用ストレッチは、姿勢よくお腹を凹ませて座る。両手を肩におき肘で円を描くように大きく回す(前後ゆっくり10回ずつ)。椅子に座り片脚を太ももと床が平行になるまで上げて静止する(左右30秒ずつ)。「ながら筋トレ」は、たった2つで簡単に足腰を丈夫にできる。片脚立ちで歯磨きをする「フラミンゴポーズ(左右1分間ずつ)。椅子から立ち上がり「スクワット」は、両足を肩幅に開き、深呼吸のペースでゆっくりと椅子から立ち上がり、ゆっくり戻るが、座る直前にゆっくりと立ちあがる(続けて5〜5回)。回数と時間を調整して、ちょっときついくらいが効果の目安である。机に手をつき転ばないように行うとよい。

他に、手首を内側に巻く「鈴木正成式にぎにぎ玄米ダンベル体操」(12項目,1セット,15分)11)、動的ストレッチの「ラジオ体操」(TV放送)も勧めている。手軽にできる有酸素運動「ウォーキング(週4日1回40分以上)も勧めるが、雨、雪、寒い、暑いなどの理由をならべて実行できない人もいる。当院では、高さ20㎝のステップ台を使い、室内の有酸素運動「スローステップ運動」を活用している12)。真冬の凍結した路面の歩行は転倒、骨折の危険があるため勧められない。ステップ台を用いた運動は冬でも取り組みやすい。いつまでも自分の足で歩けるというのは錯覚で、自分でそれなりに努力しなければ、そうはならない。腰痛、膝痛、肩痛などの影響で運動能力には個人差があり、習慣づくりと継続は難しい課題である。体調の悪いときは無理しない、頑張りすぎない、ケガをしない、水分補給をして楽しんで続ける、などを基本にしている。

生活リズムを整える

食事メモの聞き取りで、起床から寝るまでの生活リズムを把握する。若返りホルモンがドッと出るゴールデンタイムには、しっかり寝るように起床・就寝時間を一緒に考える。北海道の花は、春を待っていっせいに咲き乱れる。それと同じに春の雪解けを待ち望んで楽しみに歩行を始める人も多い。1日24時間、1週間、1ヶ月、四季の中での「運動スケジュール作成のお手伝いをする。起床、食事、運動、就寝などの1日の生活リズムを整えることは重要である。病気をもっていても「ごきげんに生きる」ための習慣づくりが大切である。

終わりに

緩やかな糖制食は、当院の患者が対象で、院長の指導があって、安心して実施することができた。

「日々元気に暮らしたい!その思いを実行できる形で提案をしたいと思う。目標設定に対する行動があっても結果につながらないこともある。院長の食事指示戔に、減量していることに「excellent!(すばらしい)」の言葉を見つけると、患者に伝えることにしている。明るい笑顔と喜びを共有できるのが嬉しい。

食事指導は、石積みと思う事がある。崩れたらまた積み、石積みの繰り返しが管理栄養士の役割である。これからも「言葉のキャッチボール」に心がけ、コツコツと石積みを続けたい。


文献

  1. 山田悟. 糖質制限の真実. 東京:幻冬舎:2015. p.110-116.
  2. 植木浩二郎. 炭水化物制限食ー適切に活用をー. 健康ぷらざ.日医ニュース No457, 2016.
  3. 日本糖尿病学会. 食品交換表(第7版). 東京:文光堂;2013. p.13.
  4. 渡邊昌. テーラーメイド・ヌトリション 個人の必要エネルギー摂取量. 医と食. 2009;1;50-53.
  5. Feinman RD, Pogozelski WK, Astrup A, et al. Dietary carbohydrate restriction as the first approach in diabetes management:Critical review and evidence base. Nutrition 2015 ; 31 : 1–13.
  6. 伊藤裕. 腸!いい話. 東京:朝日新聞出版;2011. p.75〜78.
  7. Seidelmann SB, Claggett B, Cheng S, et al. Dietary carbohydrate intake and mortality : a prospective cohort study and meta-analysis. Lancet Public Health. 2018 ; 3 : e419-e428.
  8. 太田聡,橘伸彦. 大豆たん白による腎症進展抑制への期待. 医と食. 2016;8;24-27.
  9. 東口みづか, 中谷 直樹, 大森 芳, 他. 低栄養と介護保険認定・死亡リスクに関するコホート研究 鶴ヶ谷プロジェクト. 日本公衛誌. 2008;55;432-439.
  10. 渡邊昌. 透析を遅らせる腎臓機能を保つおいしい低たんぱくレシピ. 東京:主婦の友社;2011.p.6-11.
  11. 鈴木正成. 実践的スポーツ栄養学(改訂新版). 東京;文光堂;2007.p.151-180.
  12. 田中宏暁. スロージョギング健康法. 東京:朝日新聞出版;2011.p.88-89.
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