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循環器内科でのメノポーズ、アンチエイジングの試み

approach for menopause and anti-aging care in a cardiovascular clinic
更年期と加齢のヘルスケア 第9巻 第1号 別刷

概要 医師になって30数年。私は心臓病、不整脈の専門医として患者さんの治療にあたってきた。狭心症や心筋梗塞の治療にあたりながら、病気にならないための予防が如何に大切であるかを実感してきた。2004年、アンチエイジング医学と出会い、求めていた究極の予防医学はこれであると直感し、その学問の面白さと重要性のために、興味を持って勉強し始めた。その中で、女性のアンチエイジングの基本は、ホルモン補充療法(HRT)であるということを認識した。日本抗加齢医学会専門医となるとともに、「更年期と加齢のヘルスケア研究会(後に学会)」に大会し、メノポーズカウンセラーの資格も取得した。

2008年11月に当院にアンチエイジングドックを開設した。個人の老化度、肉体的年齢、身体的能力、生活習慣病の状態、などを科学的に調べ、個々の現状にあったアンチエイジング医学的治療を行うためである。1年間で37名(男17名、女20名)のドック受診者があり、平均年齢は55.9歳であった。ドックの結果、1名が、HRT、を、4名が、DHEA、補充療法を、25名がマルチビタミンミネラルを主体とするサプリメント摂取を、それぞれ受けた。一方、保険診療で、HRT、を施行した人は11名であった。うち5名は更年期障害でエストラーナ®を貼付しており、平均年齢は52.6歳であった。残りの6名は骨粗鬆症で、エストリール1mg/日を服用しており、平均年齢は65.6歳であった。ドック受診後、当院にてフォローアップしている30名は、「健康感を取り戻した」、「元気になった」、「前向きに取り組めるようになった」、「集中力が増した」、「疲れにくくなった」、などを実感している。

通常の診察や治療を受けても、体調不良や健康感がとりもどせない患者に対して、アンチエイジングドック、それに基づくアンチエイジング医学的治療を、1年間実践してみて、有効であるという手応えを感じた。(更年期と加齢のヘルスケア、9:121-127, 2010)

キーワード
メノポーズ、循環器専門医、アンチエイジングドック、HRT、アンチエイジング医学的治療

はじめに

中国の古典的医書である『金匱(きんき)要略に上工(じょうこう)治未病、中工治已病」という言葉がある「上工は未だ病まざるを治し、中工は已に病みたるを治す」と読む。その意味は、「優れた医師は、発病前に病気の芽をつみ、予防するが、並の医師は、既に発病した患者を治す」との意味と思われる。今日的に解釈すれば「治未病」とは「病気の予防」と言うことであろう。昔から予防医学の大切さは先達によって十分に認識されていた。

また。中国の古典書「周礼(しゅらい)」には、医師の序列を、食医、疾医、傷医、獣医、の4ランクに分けている。食医は食事療法で病気を予防する医師、疾医は内科医、傷医は外科医、獣医は獣医である。食医が最高位にランクされているのは、食事療法の重要性が昔から認識されていた結果であろう。私たちが口にしたものは、すべて体内に入り、細胞レベルで種々の働きをする。有害なものを口にすれば、細胞の働きを損ね、不健康を招き、発病へと繋がっていく。必要な栄養が取れなくても同様のことが起こる。病気の予防は、まずは食事にあることは異論のないところであろう。

「上工」や「食医」を今日の医療に求めるとすれば、アンチエイジング(抗加齢)医学の考え方がそれに近いのではないかと、私は考えている。

循環器専門医からアンチエイジング(抗加齢)医学へ

医師になって30数年、私は心臓病、不整脈の専門医として患者さんの治療にあたってきた。狭心症や心筋梗塞の治療にあたりながら、病気にならないための予防が如何に大切であるかを実感してきた。これらの病気は血管の老化が原因となって起こる。血管を老化させず、若々しくいつまでも保つためにはどうしたらよいか。この疑間に答えようとする医学が、究極の予防医学である、アンチエイジング医学 1) と思っている。この医学こそが、今日的な「治未病」の学問であり、その基本は栄養療法を第一とする食医の立場である。

2004年に、アンチエイジング医学と出会い、その学問の面白さと重要性のために、興味を持って勉強し始めた。

この医学は1990年はじめに、米国で学会として組織され、日本では、米国に遅れること約10年、2001年に日本抗加齢研究会(後に医学会)が設立され、2003年にはヨーロッパにも学会が誕生した。科学的な根拠に基づいて老化を予防する、あるいは先送りする学問として今日まで発展してきた。老化を遅らせる、すなわちこのことが病気の予防にも繋がると考えられる。

2005年8月に、私は日本抗加齢医学会に入会した。そしてとりあえず専門医の資格をとるために勉強を始めた。学会主催の講習会や総会にはほとんど出席し、数ヶ月に1回、週末の東京通いが続いた。

「更年期と加齢のヘルスケア研究会(後に学会)」へ入会

2006年11月、日本抗加齢医学会北海道研究会が札幌で開催され、小山嵩夫先生の講演、「女性の若さを保つための医学~ホルモン補充療法の意義~」を聞く機会があった。これを聞き、女性のアンチエイジングの基本は、ホルモン補充療法(HRT)であるということを深く認識した 2) 。その方面の勉強もしなければ、女性のアンチエイジング医学的治療は出来ないと考え、2007年12月に「更年期と加齢のヘルスケア研究会」に入会し、更年期とホルモン補充療法の勉強を、アンチエイジング医学の一環として始めた。今まで以上に週末の東京通いが頻繁となった。2009年2月には、メノポーズカウンセラーの資格も取得した。

アンチエイジングドック開設

2008年1月、日本抗加齢医学会専門医となり、その年の11月に当院にアンチエイジングドックを開設した。開設にあたり、当院の参考になりそうな施設を訪問し、ドックを受けるとともに、その実際について教えてもらった。その中でも、保険診療をしながらドックをしている、静岡市の田中消化器科クリニックが最も参考となった。院長は日本におけるアンチエイジング医学て治療のパイオニアの一人である田中孝先生で、「アンチエイジング入門」 3)の著者である。先生にはドックを開設するにあたり、いろいろとアドバイスをいただいた。

当院のアンチエイジングドックの内容は表1に示すようなものであるが、通常の人間ドックと大きく異なるのは、簡単な体力検査、体組成計測、骨量測定、ホルモン関係特殊検査、毛髪ミネラル検査、血中ビタミン値の測定、微量金属検査、などが含まれていることである。表2には一部の特殊検査の概要を示した。これによって、個人の老化度、肉体的年齢、身体的能力、生活習慣病の状態、などを科学的に調べ、個々の現状にあったアンチエイジング医学的治療を行うことができる。アンチエイジング医学的治療の基本は、食事、運動、睡眠、サプリメント、ホルモン補充療法などである。

表1.アンチエイジングドックの内容
計画内容 身長、体重、体脂肪、脈拍、呼吸数、血圧、胸囲、腹囲、腰囲、上腕周囲長、大腿周囲長、握力、片足立ち時間、スクワット時間
採血、検尿
  • 一般検尿、一般採血
  • 通常実施される人間ドックメニュー
  • 糖代謝検査、脂質検査、腎機能検査、肝機能検査
  • 抗加齢メニュー
  • 体組成計測
  • MC-FAN 血流測定(血液さらさら度チェック)
  • 骨量測定
  • 胸椎・腰椎のレントゲン写真
  • 腫瘍マーカー
  • 男 PSA 女 CA125 抗 p53 抗体
  • ホルモン関係等特殊検査
  • DHEA-S、IGF-1、インスリン、コルチゾール、TSH、エストラジオール(E2)、プロゲステロン、フリー・テストステロン、テストステロン、レプチン
  • 骨粗鬆症マーカー
  • 血中オステオカルシン、尿中 NTX
  • 抗酸化マーカー
  • 尿中8OHdG、血中ラジカル生成能
  • 動脈硬化検査
  • 高感度 CRP、総ホモシステイン
  • 抗加齢オプション検査
  • 毛髪ミネラル検査
  • 動脈硬化検査ー頸動脈エコー
  • 血中各種ビタミン値の測定
  • 微量金属検査
  • 酸化ストレス・プロファイル(OSP)
  • 肥満遺伝子検査
  • 薄毛、脱毛関連遺伝子検査
  • アルコール感受性遺伝子検査
  • アンチエイジングドックの結果とアンチエイジング医学的治療

    1年間(2008年11月09年10月)で37名(男17名、女20名)のドック受診者があったうち4名はドックの結果、DHEA(dehydroepiandrosterone. デヒドロエピアンドロステロン)補充療法を受け、3カ月後に2回目のドックを受けた人である受診者の平均年齢は55.9歳(41~82歳)であった。

    ドックを受けた理由は、「自分の加齢度を知りたい」、「ドックの結果をもとに生活習慣の見直しをしたい」、「現在アンチエイジング的生活を心がけているが、その効果がどの程度出ているか確かめたい」、「病院にかかって検査を受けても、特別な問題はないと言われたが、体調不良が続き、健康感がない」、「現在通院しているが、今ひとつ元気になれない」、などであった。

    ドックを受けるにあたって、高齢の人たちからは、「私たちの年齢でドックを受けて、何かアンチエイジングに役立つようなデータが得られるのですか?」と、いうような質問を受けた。アンチエイジングとは、胎児から亡くなるまでの、あらゆる年齢に関係する医学であるその時々に応じたアンチエイジングをやることで、老化の速度を遅くし、早く取り組めば取り組むほど、その効果はあがると考えられる。そのように説明して受けてもらっている。

    ドックの結果、女性ホルモン補充療法を受けた人が1名、DHEA 補充療法 4) を受けた人が4名、マルチビタミンミネラルを主体とするサプリメント(以下サプリと略す)摂取をしている人が25名。残りの4名は自分で選択した従来のサプリを摂取している人であった。

    ドック受診者の30名は、当院にてフォローアップしているが、「健康感を取り戻した」、「元気になった」、「前向きに取り組めるようになった」、「集中力が増した」、「疲れにくくなった」、などを実感している DHEA 補充療法の4名と、女性ホルモン補充療法の1名は、自費診療にてアンチエイジング医学的治療を続けられている。

    表2.アンチエイジングドック特殊検査の概要(文献3:P.33, 表引用)
    項目内容
    DHEA-S副腎で分泌されるホルモン
    すべてのステロイドホルモンの源
    IGF-1成長ホルモンが肝臓に働いて分泌される物質
    インスリン膵臓でつくられる、血糖値を下げるホルモン
    コルチゾール副腎皮質ホルモン、ストレスに関連するホルモン、免疫系は抑制される
    TSH甲状腺刺激ホルモン
    エストラジオール(E2女性ホルモン(卵胞ホルモン)
    プロゲステロン女性ホルモン(黄体ホルモン)
    テストステロン男性ホルモン
    ホモシステイン動脈硬化因子(アミノ酸)
    レプチンインスリン抵抗性に関連するホルモン
    肥満状態がわかる(肥満ホルモン)
    オステオカルシン骨粗鬆症マーカー(骨芽細胞)
    尿中NTx骨粗鬆症マーカー(破骨細胞)
    尿中8-OHdG活性酸素による DNA ダメージ測定

    女性ホルモン補充療法

    一方、保険診療で HRT を施行している人は 11名である。うち5名は更年期障害でエストラーナを貼付しており、平均年齢は52.6歳(46~59歳)である。残りの6名は骨粗鬆症で、エストリール1mg/日を服用している。平均年齢は65.6歳(60~75歳)である 。

    積極的に更年期医療に取り組まれている内科医が、全国にはおられるが 5) 6)、いまだに少数派である。また、内科医としての制約もある当院にてホルモン補充療法を行なうにあたって苦慮したのが、子宮がんと乳がんの定期検診を、どのようにして行なうかということであった。市内のK病院の連携室を通し、病診連携担当医(副院長)に手紙を書き、検診を依頼した。もともとK病院は産婦人科と外科が連携し、午前中に子宮がんと乳がんの同時検診を行なっていたため、好都合であった。乳がん検診は触診、超音波検査、マンモグラフイー、子宮がん検診は子宮体癌、頚癌およびエコー検査を行なう。ただこちらの要望が受け入れられなかった点は、子宮摘出後の子宮断端細胞診で、これはK病院では行なわないということであった。

    HRT を受けている患者さんには、最低でも年に1回の、子宮がんと乳がんの検診を受けていただくよう説明し、同意してもらっている。

    啓発活動

    2009年4月から、地元の新聞社が主催する文化教室で、アンチエイジング医学の啓発活動のために、月1回、木曜日の夜7時から一時間半、一般市民を対象に講義を行っている。最初は6回シリーズで、「専門医が教える、若さを保つアンチエイジングの知識」と題して行った。受講者は16名で、食事運動、睡眠、ホルモン補充療法、サプリメント、などの話をした。今年の1月からは3回シリーズで、更年期女性に的を絞り、「更年期を幸年期に変えるための必須知識」として講義を行っているところである。

    このように病院外での啓発活動は、新しい学問であるアンチエイジング医学の理解と普及のために必要であると考え、実践している。

    アンチエイジング医学的治療の効果(症例提示)

    症例1:SK 59歳 女

    一年間ドックを実践し、ドックの結果に基づいたアンチエイジング医学的治療の手応えを自分自身で経験した。ここにその中の2例を紹介したい。

    主訴

    目が疲れる、肩がこる、筋肉痛、風邪をひきやすい、冷え症

    病歴

    平成15年に閉経を迎え、冷え性、肩がこる、目が疲れる、何となく元気がでない、などを自覚し、今後のヘルスケアの指針を得るために、アンチエイジングドックを受診した。

    ドックの主な検査所見

    BMI は22と良好。体脂肪率は30%と上限。握力は左がやや低下。尿中 NTX(骨破壊マーカー)は 61nmolBCE/mmol・CRE と高め、オステオカルシン(骨形成マーカー)は正常範囲で、骨破壊が強い状態。骨量は YAM で 81% と要注意状態に近い。総コレステロールは274mg/dl。LDL コレステロールは183mg/dl、MDA-LDL は273U/l、とそれぞれ高値を示し、レムナント様リポ蛋白コレステロール(RLP-C)もやや高めで、これらの動脈硬化促進因子の是正が必要。DHEA-S(長寿ホルモン)は166μg/dlと高値。エストラジオール(E2、女性ホルモン)は10pg/ml 以下と閉経後でもあり低値。IGF-1(成長ホルモン)は137ng/mlと低値。ペプシノーゲンが陽性、抗ヘリコバクター PIgG 抗体も陽性で、胃がんのハイリスク群である。MC-FAN による血液のサラサラ度は、かなリドロドロ状態。毛髪ミネラル検査では、ニッケル、カドミウム、水銀、鉛が中レベル。OSP 酸化ストレスプロファイルでは、活性酸素による酸化損傷度は低め、また活性酸素に対する防御能力も高く、良い状態にあった。

    以上の結果を踏まえ、次のような指導とアンチエイジング医学治療を行った。指導の部分は、患者さんの報告書に記載し、説明したものをそのまま用いたので、文体が異なる。

    生活習慣改善指導

    冬場の運動を生活習慣にとり入れて下さい。

    サプリメント指導

    動脈硬化を促進するホモシスティンが高めで、これを改善するためには、葉酸、ビタミン B6、B12 などの摂取が必要です。閉経後のコレステロール高値は、女性ホルモンの低下によって生じます。したがって、女性ホルモン補充によってある程度は改善します。コエンザイムQ10 が低値です。これはえねるぎーを作る補酵素でもあり、年齢とともに低下しますので、コエンザイムQ10 のサプリをお勧めします。骨粗鬆症予防のために、カルシウム、ビタミンD をサプリとして摂られて下さい。

    運動指導

    夏は仕事でかなり運動をされていますが、冬になると仕事が休みとなるために、運動をほとんどされていません。冬場にダンベル体操などの筋力維持のための運動をお勧めします。

    その他

    骨吸収マーカーである NTx が高いために、女性ホルモン類似薬の服用をお勧めしますあるいは E3 とよばれる女性ホルモンを服薬することが良いと思います。総コレステロール、悪玉コレステロール、MDA-LDL、などの高値については、薬で治療する必要があると思います。胃がんのハイリスク群ですので、毎年必ず胃カメラを受けて下さい。血液のサラサラ度が、運動、サプリ、高脂肪血症薬、などによってどの程度改善しているかを評価するために、数ヶ月後に再検いたしましょう。血圧がやや高めですので、家庭血圧を測定して下さい。

    アンチエイジング医学的治療

    アンチエイジング医学的治療の経過

    約7ヵ月後には、E2は初回の10以下から30pg/mlへと増加。疲れても次の日まで持ち越さない、肩こりも楽になり、仕事中疲れを感じることもなくなった、と自党症状も改善。細かいことも最近はこだわらなくなり、またくよくよしなくなった、などと精神面での改善も著しい。アンチエイジング医学的治療の効果と考えられる。

    症例2:MY 61歳 男

    主訴

    肩がこる、耳鳴り、性欲減退

    病歴

    平成17年よりパニック障害にて加療中であった。症状の改善が十分でなく、幸せを感じない、自信を失った、人と話すのが嫌、憂うつ、緊張感、などの訴えが強く、アンチエイジング医学的なチェックを希望し、アンチエイジングドックを受けた。

    ドックの主な検査所見

    BMI 20と標準、体脂肪率26%とやや増加。体組成計測では、内臓脂肪レベルは10とややメタボ、下肢筋肉量の低下を認めた HbA1c 5.7% とやや高め。中性脂肪 219m/dl と高値、MDA‐LDL 139U/l と高値、レムナント様リポ蛋白コレステロール(RLPC)8.4mg/dl と高値、IGF‐1 は100ng/ml とやや低下。DHEA‐S は 120μg/dl とやや低下。フリーテストステロンは 16p/ml とやや高め。ペプシノーゲン2+と陽性、抗ヘリコバクターPIgG 抗体陽性。MC‐FAN による血液サラサラ度は、強いドロドロ状態。毛髪ミネラル検査では、ニッケル、ヒ素、カドミウム、鉛が中レベル。OSP酸化ストレスプロファィルでは、酸化損傷度は少なく、また抗酸化力は高いレベルであった。

    以上の結果、以下のような指導とアンチエイジング医学的治療を行った。

    生活習慣改善指導

    動脈硬化に関係するコレステロール、特に悪玉コレステロールが高めです。これには運動不足が関係します。運動を積極的に日常生活に取り入れていきましょう。

    食事・栄養指導

    骨粗継症の予防のために、カルシウムやビタミンDを積極的に摂取しましょう。中性脂肪を下げるためには、内臓脂肪の改善が必要です。間食などで甘いものは控えましょう。また、食生活を見直し、なるだけ炭水化物を少なくし、オメガ3系不飽和脂肪酸をとるように致しましょう。骨粗継症の予防のために、カルシウムやビタミンDを積極的に摂取しましょう。中性脂肪を下げるためには、内臓脂肪の改善が必要です。間食などで甘いものは控えましょう。また、食生活を見直し、なるだけ炭水化物を少なくし、オメガ3系不飽和脂肪酸をとるように致しましょう。

    サプリメント指導

    成長ホルモンがやや低下ぎみです。成長ホルモンは年齢とともに低下します。これを高めるために、アミノ酸、特にL―アルギニンを摂られることをお勧めします。DHEA‐S が低下気味です。DHEA‐S の補充療法をお勧めします。現在服用されているマルチビタミンミネラルに加え、抗酸化物質を多く含むサプリの摂取が、動脈硬化の予防や、ストレス緩和のために良いと思います。また中性脂肪が高く、MDA-LDL が高値ですので、オメガ3系不飽和脂肪酸のサプリを摂られると良いでしょう。

    運動指導

    有酸素運動とレジスタンス運動の両方をお勧めします。1日40分以上、週に4回以上のウォーキング、毎日15分のスクワットやダンベル体操を目標にしてください。体の抗酸化力は非常に高いです。健康感をさらに増すために、運動を定期的に行いましょう。

    メンタル指導

    心の症状では、うつ的な症状がいくつか認められます。運動はうつの改善にも役立ちますので心掛けましょう。

    その他

    毎日家庭血圧を測定し、経過をみましょう。肩凝りの改善にもぜひ運動をしてください。性欲減退については、男性ホルモン低下の影響ではなく、ED の可能性もあるかと思われます。それについては HEF5 問診表で調べてみましょう。血液のサラサラ度には、運動不足やストレスなどが関係しますので、運動やリラックスを心掛けて下さい。胃粘膜の萎縮も高度で、ピロリ菌も陽性です。近日中に胃カメラを実施しましょう。糖尿病の疑いがありますので、検査致します。

    アンチエイジング医学的治療

    アンチエイジング医学的治療の経過

    ドツク受診後にサプリメント、および DHEA 摂取を開始し、7カ月後に二回目の抗加齢ドックを受けた。体の症状では、初回目立っていためまい、耳鳴りがかなり改善した。また心の症状では、4点以上の目立つ訴えはなく、平均点は初回の 2.7 から 1.4 点へと改善した身体計測では、初回に比べ、体重は 25kg 増えているが、BMI は 20 と変わりなし腹囲が 79 から 76 cmへと減少。イス座り立ち回数は、初回の 27 から 30 へと改善。初回低値であった DHEA-S は 120 から 329μg/dlへと、補充療法によって改善。またコルチゾールは初回の11から7μg/dlへと減少していた。

    サプリメントおよび DHEA の摂取によって、心の症状が大変良くなっており、またストレスホルモンであるコルチゾールの改善は、マルチビタミンミネラルやアンチオキシダントあるいは DHEA の効果かと思われる。

    3ヵ月前に、ゴルフの練習中に肋骨骨折を起こし、このために運動を中断せざるを得なかったが、今後は徐々に運動を増やし、筋肉を増強していけば、体調はさらに良くなるものと考えられる。

    ※注1)このマルチビタミンミネラルの12粒+1カプセルは、ベータカロテン6000μg、ビタミンD 5μg、ビタミンE134mg、ビタミンC 200mg、ビタミンB1 50mg、ビタミンB2 50mg、ビタミンB6 50mg、ビタミンB12 100μg、ナイアシンアミド 14mg、葉酸 400μg、バントテン酸 50mg、ビオチン300μg、カルシウム 100mg、マグネシウム 50mg、セレン 100μg、亜鉛 15mg、クロム 100μg、コリン35mg、イノシトール25mg、ルテイン1mg、リコベン3mg、の各成分を含有している。

    ※注2)このアンチオキシダントの12粒はベータカロテン 3000μg、ビタミンC1000mg、ビタミンE 134mg、ビタミンB2 10mg、セレン 100μg、亜鉛 10mg、マンガン10mg、ヘスペリジン 50mg、CoQ10 30mg、エピガロカテキン 10mg、レスベラトロール 5mgの各成分を含有している。

    終わりに

    通常の診察や治療を受けても、体調不良や健康感が取り戻せない患者さんに対して、アンチエイジングドック、それに基づくアンチエイジング医学的治療を、1年間実践してみて、有効であるという手応えを感じた。今年(2010年)1月には、日本抗加齢医学会認定医療施設に、北海道で初めて認定された。これからも引続き、アンチエイジング医学的治療の普及と実践に努めていきたいと考えている。

    文献

    1. 日野原重明:アンチエイジング医学とは.PTM 13 (2) Feb., 2010
    2. 小山嵩夫:女と男の更年期.誠文堂新光社.2008.
    3. 田中孝、中山芳瑛:アンチエイジング人門.主婦の友社.2005
    4. 山田佳彦: DHEA 補充療法の現状.アンチ・エイジング医学.2 (4):34-38, 2006.
    5. 清田真由美:かかりつけ医(家庭医)が取り組む更年期医療.更年期と加齢のヘルスケア.8 (1):168-172, 2009
    6. 宮地清光、沼田章子、後藤喜代香、他:内科医のホルモン補充療法.更年期と加齢のヘルスケア.7 (1):59-64,2008
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