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アンチエイジングおよび自費診療

腸内細菌とNASH、肝臓がん

2015.07.22

6月18日、19日に開催されました第19回腸内細菌学会で発表されました演題のなかから、今回は腸内細菌叢バランスの変化と非アルコール性脂肪肝や肝臓がんとの関連について報告をさせていただきます。

NASH(non-alcoholic steatohepatitis)

脂肪肝は症状が進行すると慢性肝炎、さらには肝硬変を経て肝臓がんに至るため、早期に改善することが重要です。これまで脂肪肝といえば飲酒による影響が大きいといわれてきましたが、近年の肥満者の増大によりアルコールを摂取していないにもかかわらず、過栄養により脂肪肝を発症する事例が増えてきており、わが国では300〜400万人存在していると推計されています(NASHの病態・診断・治療の現状と問題点 岡上武 2013)。

飲酒を伴わない肝疾患

NASHは、肝臓内に脂肪蓄積が起こり、TNF-αのような炎症性サイトカインによる暴露や酸化ストレス、さらには細菌毒素であるLPS(lipoplysaccharide:リポ多糖)のようなエンドトキシンの暴露などで慢性炎症が引き 起こされると考えられています。ここで出てくるようにエンドトキシンによる作用が最近注目を集めるようになってきました。

腸内細菌叢と胆汁酸との関係

今回の学会発表のなかで高脂肪食により腸内細菌叢が変化し、NASHの発症原因になっているというものがありました。

北海道大学大学院農学研究科横田篤先生からの発表では、高脂肪食の摂取により脂肪分を吸収するために胆汁酸が増加しますが、その増加した胆汁酸が強力な界面活性作用を有するため腸内細菌を殺菌してしまうことにより菌叢変化する、との結果を提示されました(GASTROENTEROLOGY 2011;141;1773-1781,Gut Microbes Vol.3 Issue5 2012)

また胆汁酸のなかでも二次胆汁酸であるデオキシコール酸(DCA)がより殺菌作用の強いことが示唆されました。高脂肪食により胆汁酸が増え、腸内細菌叢が変化するとともに、DCAが直接的に腸管上皮細胞を損傷させ、バリア機能が低下します。この結果LPSのようなエンドトキシンが肝臓に到達して肝臓に炎症を引き起こし、また肝臓の細胞を老化させ、肝臓がんの形成を促進しているという発症メカニズムが示唆されました。DCAは腸内細菌によりコール酸(CA)から変換されるといわれており、ここでも腸内細菌叢が宿主への強い影響力を持っていることが明らかとなりました。

ビフィズス菌による効果

一方、森永乳業からの発表では、肉食時にビフィズス菌(BB536菌)が含まれたヨーグルトを摂取すると、宿主への悪影響を及ぼすような菌群、特に肉食で増加するといわれている硫化水素を産生する菌のBilophila属が増加することなく、大きな菌叢変化が認められなかった、とのことでした。

このBilophila属の細菌は、硫化水素を産生し、この硫化水素が腸管壁バリア機能を低下させ、いわゆるleaky gutと呼ばれる状態を引き起こす要因となっています。

まとめ

これまで肥満が原因で生じると思われてきたNASHやその延長上にある肝臓がんは、肥満だけではなく、肥満に至るような食生活、つまり高脂肪食による胆汁酸過多からくる腸内細菌叢の変化、さらには腸内細菌叢が産生するエンドトキシンにより生じることが明らかになってきました。

この流れを防ぐためには、食事内容を改めることと運動により脂肪を消費させることに加え、積極的にビフィズス菌などの有用菌を摂取し、腸内細菌叢を正常に保つことが重要であるといえます。

[参考]
厚生労働省e-ヘルスネット、KEGG

(2015年7月ヘルシー・パス提供)

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