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アンチエイジングおよび自費診療

ヘム鉄の吸収代謝およひ有害性

2014.09.01

鉄分が不足している際に摂取されるものには、サプリメントでよく使われるヘム鉄と医薬品などで使われる非ヘム鉄があります。今回は、ヘム鉄の吸収と体内での代謝、更に過剰摂取による有害性に関してご紹介します。

ヘム鉄とは

鉄欠乏性貧血の場合、積極的に鉄分を補うことが重要であることは周知の事実です。鉄分を補給する場合、一般的には日々の食事のなかでレバーや赤身の肉を摂取することが基本だと言われています。しかし、レバーや赤身の肉を毎日食べることは難しく、余分な脂肪分の摂取も気になります。そこで、補助的な手段としてサプリメントによる鉄摂取が考えられます。サプリメントとして 摂取できる鉄には大きく分けて2種類あり、医薬品などで使われているクエン酸第一鉄のような非ヘム鉄と、レバーや赤身の肉に含まれているヘム鉄があります。

医薬品では、鉄として1日に100mg〜200mgの摂取が推奨量ですが、これは牛肉の赤身肉(鉄含有量2.7mg/100g)で換算すると約3.7kg〜約7.4kgもの量になります。

また医薬品に用いられる非ヘム鉄は副作用として発疹、かゆみ、光線過敏症、吐き気、嘔吐、上腹部不快感、胸やけ、下痢、めまいなどが報告されています(フェロミア添付文書より)。ヘム鉄は、血液中(赤血球)に存在するヘモグロビンの構成成分です(ヘモグロビン=ヘム+グロビン)。このヘム鉄は非ヘム鉄と比べると鉄としての体内への吸収率が5〜6倍多いと言われています(原料メーカー資料より)。

ヘム鉄の吸収メカニズム

上記の通り、ヘム鉄は非ヘム鉄に比べると体内への吸収率は大きく異なり、効率的に体内に吸収することができると言えます。実際に成人日本人女性(平均年齢46歳)11名による摂取試験(クロスオーバーブラインド試験)では、ヘム鉄およびピロリン酸第二鉄を鉄としていずれも10㎎摂取したところ、ヘム鉄は1時間後に最も血清鉄濃度が高くなり、非ヘム鉄摂取時と比べ約5倍の血清鉄濃度差が生じました。この濃度差は小腸での吸収メカニズムの違いによると考えられています。

非ヘム鉄の吸収率の悪さは、食事由来の食物繊維やタンニンにより吸収が阻害されること、また小腸に発現している鉄吸収輸送体(DMT1:divalent metal transporter1)により体内へ取り込まれる際、摂取した鉄(Fe3+)はFe2+に還元されなければならないことに関連していると考えられます。

一方、ヘム鉄はヘム輸送体(HCP1:heme carrier protein1)により体内に吸収されると言われていますが(Cell,vol.122,789-801,Sep 9,2005)、まだヘム鉄の吸収本体と 考えられる輸送体は同定されていません(Trace Nutrients Research 28,89-94:2011)。

体内でのヘム鉄代謝

吸収されたヘム鉄は、ヘムオキシゲナーゼ(HO: heme oxygenase)によりFe2+とCO、ビリベルジン(biliverdin)に分解され、ビリベルジンはビリルビン(bilirubin)になります。その後Fe2+は、フェロポーチン(ferroportin)により血中に入り、銅含有酵素であるヘファエスチン(hephaestin)によりFe3+に還元され、トランスフェリン(transferrin)に取り込まれ体内を巡ります。血中に入らなかったFe2+は、銅含有酵素であるセルロプラスミン(ceruloplasmin)によりフェリチンとしてFe3+の形で貯蔵されます。このため、貧血の際の指標としてフェリチン値が用いられます。

ヘム鉄過剰摂取の有害性

鉄欠乏性貧血の場合は、副作用の少ないヘム鉄の摂取を薦めます。実際にヘム鉄を摂取するとフェリチン値は増加します(当社試験結果より)が、ヘム鉄といえども体内でヘムオキシダーゼによりFe2+に分解され、フェリチンに取り込まれる際にヒドロキシラジカルが発生し、酸化ストレスを生じ、細胞障害を引き起こすとも言われているので、過剰摂取による副作用が気になります。

生体内の鉄量は厳密にコントロールされており、肝臓で生合成されるペプチドホルモンであるヘプシジン(hepcidin)が血中鉄イオン濃度を低くなるように調整しています。肝臓の機能が弱った状態ではヘプシジンの産生が低下し、血中鉄イオン濃度は高くなり、酸化ストレスが生じやすくなる可能性があります。そのため、非ヘム鉄だけでなく、過剰なヘム鉄摂取も良くないと言えます。またヘム鉄の多量摂取により2型糖尿病(以下T2D)のリスクが増加し(Diabetes Care 29,1370,2006;Am J Clin Nutr 79,70,2004)、さらに貯蔵鉄の増加もT2Dリスク増加と関連すること(JAMA 291,711,2004)、血清フェリチン値は内臓脂肪や皮下脂肪量と相関する(Diabetes Care 28,2486,2005)、といった結果が出ており、フェリチン値は鉄欠乏性貧血のマーカーであるとともに数値が高い場合は酸化ストレスや糖尿病、メタボリックシンドロームのマーカーにもなります。ヘム鉄であっても適量以上の大量摂取は避け、鉄をサプリメント等で補充する際は、フェリチン値を 測定したうえで摂取することが重要であると言えます。

(2014年8月ヘルシー・パス提供)

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